「求人を出しても応募がこなくて悩んでいる……」「そもそも求人の書き方がよくわからない……」といった課題にお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
求人を作成する際は、まず、求職者が知りたいであろう情報をご自身が理解することが大切です。この記事では、それらの情報をどのように書くとより魅力的に伝わるのか、また、労働条件や給与といった項目の正しい書き方なども解説します。求人の書き方について迷われている方は、ぜひ、ご参考にしてください。
応募したくなる求人とは?
求職者が仕事を探す際、まずはじめに求人に書いてあることを頼りに、応募するかどうかを判断しています。
「どのような仕事内容なのか」
「労働条件は希望にあっているか」
「どういった職場環境なのか」
「社風と自分の価値観が近いか」
などを確認します。
そのため、求人を作成する際は、これらの内容をイメージしやすいように、具体的かつわかりやすく伝えることが重要です。この章では、とくに意識したいことについてご紹介します。
ペルソナ(求める人物像)を明確にする
求人を作成するにあたって、ペルソナを明確にすることからはじまります。ペルソナとは年齢や性別、前職経験やスキルといった仕事観、人物像や志向性などから自社の採用につながりそうな具体的な人物像を指します。
求める人物像を明確にすることで、自社がどのような人を求めているのかがよりクリアになります。また、求職者側にとっても「スキルや経験が活かせるのか」「自分が必要とされている職場なのか」といった判断がしやすくなります。
ペルソナが不明瞭だと、その求人が誰に向けたものかわかりづらくなるだけでなく、仕事内容を正確に伝えきれず、採用のミスマッチが起きる可能性もあります。したがって、ペルソナを明確にすることは、求人作成のベースでありもっとも重要な工程といえます。
仕事内容がしっかりイメージできるよう具体的に書く
仕事の具体的な内容や、業務ボリュームなどをできるだけ具体的に書くことで、求職者は入社後のイメージがしやすくなります。
たとえば、営業職の場合、どのような業界でどのような商材を扱うのか、ノルマやインセンティブの有無、顧客は法人か個人かなど、業務内容を詳しく表記することで、求職者は働く姿を想像することができ、新しい職場環境への不安が解消されたり、入社意欲が湧くきっかけとなります。
また、その業務を通して得られる成果やスキル、チームで働く場合はチームメンバーの構成や協力体制についても触れることで、職場環境をより具体的に思い描くことができます。仕事内容が多岐にわたる場合は、具体例をいくつか挙げるなど、どのように表現したら伝わりやすいかを考えながら記載することが大切です。
誰にでもわかりやすい文章で書く
求人は求職者が企業や仕事内容を理解するために重要な判断材料です。そのため、誰にでもわかりやすく、イメージしやすい言葉を使うことが基本です。業界特有の専門用語や、社内用語などは、気づかないうちに使用しがちなので注意が必要です。実務経験者を募集する場合でも、業界用語や専門用語が多用されている求人だと、求職者が負担を感じて応募を控えてしまうといったケースもあります。
求人を公開する前には、作成した文章を複数人で校正して、誤字脱字や意図しないニュアンスに捉えられてしまう可能性はないかなどを確認すると安心です。
また、PCで求人を作成している場合、スマートフォンでの見え方も確認することが大切です。ほとんどの求職者がスマートフォンで求人情報を閲覧しているので、文章だらけで読む気がうせる、改行の位置がおかしい。ということがないように注意しましょう。
写真や動画を活用して雰囲気を伝える
文章だけではなく、写真や動画をあわせて求人に掲載することで、職場の雰囲気がぐっと伝わりやすくなります。
たとえば、オフィスの環境や職場のチームワークが伝わるような写真や動画を掲載することで、求職者は職場の雰囲気や企業の文化を感じ取ることができます。また、仕事内容や製品・サービスを紹介する動画を掲載することで、求職者は企業の事業内容についても、より深く理解することができます。
求人に掲載する写真の撮り方や、動画の作り方については、こちらのコラムで詳しくご紹介していますので、ぜひご参考にしてください。
求人の応募率は掲載写真で変わる? 効果的な求人写真の撮り方を解説 採用動画で応募率UP!? 5つの効果と作り方についても解説求人に掲載しなければいけない項目
求人に記載する項目は、職業安定法によって定められています。効果的な求人を作成する前に、まずはどのような情報が必要なのかを把握しておきましょう。
ハローワークをはじめ、自社の採用サイトや求人広告への掲載など、採用活動を行なう際には、以下11項目の労働条件を明記する必要があります。※2024年4月改定
明記が必要な項目
項目 | 記載例 |
---|---|
業務内容 | 雇入れ直後/営業職 変更の範囲/営業企画・広報 |
契約期間 | 期間の定めあり 契約の更新:有 更新上限:有/通算契約期間2年まで |
試用期間 | 試用期間あり 3か月 |
勤務地(就業場所) | 雇入れ直後/横浜支店 変更の範囲/関東一都六県内の支店・営業所 |
勤務時間(就業時間、休憩時間、時間外労働) | 9:00~18:00 休憩12:00〜13:00(時間外労働あり 月平均10時間) |
休日 | 土日、祝日 |
給与(賃金) | 月給23万円 ただし試用期間中は月給21万円 |
加入保険 | 雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険 |
募集者の名称または氏名 | 株式会社◯◯◯ |
派遣労働者として雇用する場合 | 雇用形態:派遣労働者 |
受動喫煙防止措置の状況 | 屋内の受動喫煙対策あり(喫煙室有り) |
また、求人企業や職業紹介事業者などが、労働者の募集や職業紹介を行う場合には、募集する労働者の労働条件を明示することが必要ですが、2024年の4月から、新たに以下の事項についても明示することが必要となりました。
1)従事すべき業務の変更の範囲
2)就業の場所の変更の範囲
3)有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項 ※通算契約期間又は更新回数の上限を含む
なお、労働条件通知書の変更点や、求人に掲載すべき必須項目については、以下のコラムでより詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
【2024年4月改正】労働条件通知書の作り方とは? 変更点を記入例つきで解説 求人に掲載すべき必須項目とは? 応募率を上げる書き方のコツも解説応募したくなる求人の書き方|5つのコツ
前章にて、求人を作成する際に、意識しておきたいことや必ず記載しなければいけない項目についてお伝えしました。ここからは、実際にどのように書いていけばよいかを、例文も交えてご紹介します。それぞれの項目の注意点やコツを把握して、魅力的な求人の作成にお役立てください。
コツ1:ペルソナに響くキャッチコピーを盛り込む
先にお伝えしたように、まずは、自社の求人に興味関心を持つ具体的な人物像=ペルソナを明確にすることが大切です。ペルソナを明確にすることで、作成する求人の方向性や軸が定まり、その人物の心に響くようなキャッチコピーを作成することができます。
キャッチコピーは求職者が最初に目にする部分であり、求職者が求人を読みすすめるかどうかを決める重要な要素となります。そのため、興味を惹くキャッチコピーをつけることが重要です。
たとえば、「オープニングスタッフ募集! 全員がはじめましてのフラットな人間関係なので、未経験からのスタートでも安心して働けます!」など、具体的なベネフィットや職場環境の様子を盛り込んだタイトルにすることで、求職者の関心を惹きつけやすくなります。また「なんと、在籍社員の7割が10年以上のベテラン! 定着率の高さが自慢です」など、数字やキーワードを活用することで、自社の特長をよりわかりやすく伝えることができます。
キャッチコピーの書き方について、こちらのコラムでより詳しくご紹介しています。あわせてご参考にしてください。
応募率を高める求人キャッチコピーの書き方! 例文つきでわかりやすく解説コツ2:給与は具体的な数字を記載する
給与については、多くの求職者が応募の重要な判断材料としているため、基本給、残業代、賞与など、それぞれ具体的な数字を記載しましょう。
給与の金額だけでなく、昇給の頻度や賞与の回数、さらには賞与の実績や平均の金額なども記載することで、求職者に対してより詳しい報酬体系を理解してもらうことができます。また、実際の月収例や年収例を年次別に示すことで、求職者はリアルな収入をイメージすることができます。
例) ・月給25万円以上、昇給は年1回、賞与は夏と冬の年2回(昨年度実績:月給1.5か月分) ・月給25万円以上(固定残業代含む)※固定残業代は20時間分38,000円、時間超過分は追加支給 ・入社1年目の平均月収は25万円、3年目で30万円 |
給与や賞与の正しい書き方、最低賃金について、以下のコラムでさらに詳しく解説しています。ぜひご参考にしてください。
求人の給与の正しい書き方と注意点を解説! 応募者を増やすコツもご紹介 【例文あり】求人の賞与や昇給の正しい書き方とは? 魅力的な伝え方を詳しく解説 【2024年10月改定】最低賃金はいくらになる? 企業がとるべき対策とは?コツ3:雇用形態や労働条件は詳しく記載する
雇用形態や労働条件(勤務地、勤務時間、応募資格など)は、給与と同じく、応募する際の大きな判断材料となる項目です。採用後のトラブルに発展しないよう慎重に記載しましょう。
雇用形態の項目では、正社員・契約社員、パート・アルバイトなどの雇用形態のほか、契約期間や正社員登用制度の有無なども記載します。
勤務地は具体的に記載し、通勤の便利さもアピールポイントとして盛り込みましょう。住所だけでなく、最寄りの駅からのアクセス時間や交通手段なども明記することで、求職者は通勤の利便性を判断できます。
また、応募資格を記載する際には、たとえば、「PC操作ができる方」だけだと、伝わらないため、どのようなスキルや経験を持つ人物を求めているのかを具体的に明示する必要があります。
例) 【雇用形態】正社員 【勤務時間】9:00〜18:00 実働8時間・休憩1時間 【休日】年間休日120日、週休2日制、有給休暇、年末年始休暇、年次有給休暇 【待遇】交通費全額支給、社会保険完備、産休・育休あり、住宅手当、社員割引 【勤務地】◯◯府◯◯市△△区◻︎◻︎1-2-3 JR◯◯駅徒歩3分 【応募資格】エクセルを使用した生産管理の実務経験3年以上の方 【雇用形態】アルバイト 【勤務時間】8:00~17:00、9:00~18:00、11:00~20:00 シフト制・1日あたりの実働8時間・休憩1時間 ※選べる勤務時間、週2日~OK 【休日】土日祝、有給休暇 【待遇】交通費全額支給、社会保険完備、産休・育休あり、正社員登用制度有 【勤務地】◯◯府◯◯市△△区◻︎◻︎1-2-3 JR◯◯駅徒歩3分 【応募資格】高齢者とのコミュニケーション経験が豊富な方 |
なお、裁量労働制の導入方法や、年齢制限をせずとも若い人材からの応募をふやすための書き方、休日・勤務時間、応募資格の書き方など、以下のコラムで解説していますので、ぜひご参考にしてください。
【2024年改正】裁量労働制の導入方法・求人の書き方もご紹介 若い人がほしいときの求人の書き方|年齢制限の注意点を解説 【例文つき】休日・勤務時間の効果的な求人の書き方 【例文つき】応募資格の書き方で求人を効果アップさせるコツコツ4:仕事の厳しい側面も書く
働きやすい環境のアピールや、将来的に目指せるキャリアパスなどを明記することは、求人の魅力を高めるうえで重要です。とはいえ、仕事の楽しい側面だけしか記載していなかった場合、入社後に、会社への不信感から早期離職につながってしまうケースもあります。
そのため、求職者が事前に働き方をイメージすることができるよう、自社の課題や仕事の厳しさについても、きっちりと開示しておくことが大切です。
たとえば、繁忙期がある職場の場合、「繁忙期(3〜4月)には1日2時間程度の残業あり」など、その旨を伝えておくようにしましょう。また、業界の華やかなイメージが先行されがちなクリエイティブな職種の場合、「思い描いていた理想と異なる場面もあるかと思いますが…」など、現実的なワードも盛り込むことで、求職者はよりリアルに応募するかどうかの判断ができ、入社後のミスマッチを減らすことができます。
コツ5:募集の背景を記載する
募集の背景が記載されていない場合、求職者は、離職率が高いのかな? なぜ急募しているのだろう? と不安を抱いてしまう可能性があります。
たとえば、「新規事業立ち上げのため、新たなメンバーを募集」など、前向きな内容を記載することで業績のアピールができ、求職者の不安を軽減させるとともに、モチベーションアップへとつなげることができます。
まとめ:ペルソナの立場になって、具体的でわかりやすい求人作成を
求人を作成する際、真っ白な状態から埋めていくのは大変ですよね。今回の記事を参考にし、まずは自社が求めているペルソナを明確にし、そのペルソナの立場になって、求職者が知りたいであろう情報を具体的に書き出していくことからはじめてみてください。
とはいえ、法律的にこの表現は大丈夫なのか? といった不安があるかもしれませんし、第三者からみないと気づかない自社の魅力や長所があるかもしれません。もし、そのような心配事が少しでもある場合、解決策のひとつとして、人材専門のプロにお願いする方法があります。
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