「中途採用をしたいけれど、求人広告と人材紹介のどちらを活用すればよいのだろうか……」このような疑問をお持ちではありませんか。
求人広告と人材紹介はどちらも中途採用に有効な採用手法ですが、それぞれ特徴や仕組みが大きく異なります。「とにかく採用が急務だから」とやみくもに使ってしまうと、思うように採用ができなかったり、採用コストが余計にかかったりするケースもあるため注意が必要です。
本コラムでは、求人広告と人材紹介の仕組みや特徴、それぞれのメリット・デメリットを解説しますので、ぜひご参考にしてください。
目次
求人広告と人材紹介の特徴
「求人広告」と「人材紹介」は、中途採用の代表的な手法です。それぞれの仕組みや費用体系を理解することで、自社にあった採用手法を選びやすくなります。本項では、それぞれの特徴を解説します。
求人広告とは?
求人広告とは、求人サイトや求人情報誌、転職イベントなどの媒体に求人情報を掲載し、応募者から直接エントリーを募る仕組みです。特徴としては「幅広い層にアプローチできる」「自社の魅力を直接伝えられる」点が挙げられます。
求人広告媒体には求人サイト、フリーペーパー、求人検索エンジンなどさまざまな種類があります。
広告費用は、掲載をするたびに費用が発生する「掲載課金型」のほか、近年ではWEB上の求人広告をユーザーがクリックした際に費用が発生する「クリック課金型」が主流となりつつあります。
掲載課金の場合は媒体やプランによって異なります。一般的な中途採用向け媒体では、一度の掲載に30万~50万円程度かかります。
クリック課金型の求人広告では1クリックあたり数十~数百円が相場とされますが、募集エリアや職種によっては500〜1,000円ほどかかることもあります。いずれにしても、求人広告は採用人数が多い場合や、広く母集団を形成したい場合に適している方法といえるでしょう。
人材紹介とは?
人材紹介とは、人材紹介会社に登録している転職希望者のなかから、企業の求める条件に合致した候補者を紹介してもらう仕組みです。企業と候補者の間には人材エージェントが入り、応募者の書類選考や面接日程の調整、条件交渉などを代行してくれるのが特徴です。
そのため、募集企業にとっては採用担当者の労力を大幅に削減しながら、即戦力人材と出会える点に強みがあります。
費用は成功報酬型が基本で、採用が決まった段階で初めて費用が発生します。相場は採用者の理論年収の30〜40%程度で、人材紹介会社や職種によって紹介費用が異なります。たとえば、年収400万円の人材を成功報酬30%の人材紹介会社で採用した場合は、120万円の手数料が発生します。
求人広告に比べて、ひとりあたりの採用コストは高額になりがちですが、社内の負担を抑えつつピンポイントで人材を確保したい場合に有効な手法といえるでしょう。
求人広告と人材紹介の違い
求人広告と人材紹介は、どちらも中途採用に有効な手段ですが、費用のかかり方や採用に必要な工数は大きく異なります。自社の採用ニーズや体制に応じて適切に選択するためには、それぞれの違いを理解することが欠かせません。本項では「費用」と「工数」の観点で、求人広告と人材紹介の違いを解説します。
費用の違い
前述でもお伝えしましたが、求人広告は、基本的に「掲載課金型」か「クリック課金型」が主流です。中途採用向けの求人サイトで掲載課金型を利用した場合、1回の掲載で30万~50万円程度かかるケースが一般的で、広告を掲載した時点で費用が発生します。採用が決まらなくても費用は戻らないため、複数回掲載するとコストが膨らむリスクもあるため注意が必要です。
クリック課金型を利用した場合は、求人広告がクリックされるごとに費用が発生します。職種や勤務地、採用難易度によってクリック単価は変動するため、数十円程度でおさまることもあれば、採用が難しい職種や地域では数百円に達することもあります。
クリックされた分だけ費用が発生するため無駄がなく、必要な期間だけ広告を出せる柔軟性がある点はメリットですが、効率的に運用するには分析力や運用ノウハウが求められます。
一方、人材紹介は「成功報酬型」が基本で、採用が成立して初めて費用が発生します。相場は採用者の理論年収の30〜40%程度で、年収500万円なら150万〜200万円ほどの紹介手数料がかかります。ひとりあたりの採用単価は高めですが、内定にいたらないうちは費用が発生しないため、無駄打ちが少ないのが特徴です。
工数の違い
求人広告の場合、掲載媒体の選定、応募者対応、面接調整などをすべて自社で行う必要があります。媒体によっては、求人の作成も自社で対応しなければならないものもあります。
そのため、利用媒体数や応募数が多い場合は書類選考や面接調整に相応の時間と労力がかかります。採用担当者に十分なリソースがある企業向きの手法といえるでしょう。
一方、人材紹介では、人材サービス会社のコンサルタントが候補者の推薦から日程調整、条件交渉までを代行してくれます。企業側は面接と最終判断に集中できるため、工数を大幅に削減可能です。採用担当者の数が限られている企業や、スピーディーに即戦力人材を採用したいケースに向いています。
求職者(人材)の違い
求人広告は、求職者が自ら求人情報を検索し、興味を持った企業に直接応募するスタイルです。そのため、自発的に行動している人材が多い一方で、応募者のなかには未経験者層や求めるスキルに満たない人材が多く含まれる傾向があります。
また、採用企業側としては、幅広い母集団を形成できる反面、選考にかかる工数が増える点にも注意が必要です
一方、人材紹介は、専門スキルや業界経験を持つ人材が、より専門性を高めるケースやキャリアアップを目指すポジションを求めて登録する傾向が強いのが特徴です。紹介会社の人材エージェントがスクリーニングを行ったうえで推薦するため、即戦力人材やハイクラス層に出会いやすくなります。
したがって、企業視点では「広く母集団を形成したい・若手層を採用したい場合」は求人広告が向いており、「専門スキルを持つ人材・ハイクラス人材を効率よく採用したい場合」は人材紹介が適しているといえるでしょう。
求人広告のメリット
求人広告は、多くの企業が利用するオーソドックスな採用手法です。幅広い人材に情報を届けられる点や、採用コストをある程度コントロールできる点に強みがあります。代表的なふたつのメリットをご紹介します。
幅広い層にアプローチできる
求人広告は、求人サイトや検索エンジンを通じて多くの求職者の目に触れるため、応募者の母集団を広げやすいのが最大の強みです。特定のスキルや経験を持つ人材だけでなく、転職を検討し始めたばかりの潜在層にもアプローチできます。
また、企業の魅力を自社の言葉で直接発信できるため、会社のブランド訴求や認知度向上にもつながります。
採用コストを調整しやすい
求人広告は、媒体やプランを選ぶことで採用コストをある程度調整できます。たとえば、短期間・低予算で掲載できるプランを選べば採用予算を抑えることが可能です。また、ひとりあたりの採用単価を低く抑えやすい点も特徴で、大量採用や複数職種を同時に募集するケースで効果を発揮します。
成功報酬型の人材紹介に比べて、採用が決まらなくても費用が発生するリスクはあるものの、うまく使えばコスト効率の高い手法といえるでしょう。
求人広告のデメリット
求人広告は幅広い人材にアプローチできる一方で、注意すべき点もあります。費用面や工数面での負担、応募者の質のコントロールが難しいといった課題があり、採用計画によってはデメリットが大きくなることもあります。
応募が集まるか不確実
求人広告は、一度の掲載で多くの求職者にアプローチできますが、必ずしも応募が集まるとは限りません。職種や勤務地によっては応募数が少なく、採用につながらないケースもあります。
とくに、高度な専門スキルを求める職種や、都市部に比べて求職者の母数が限られる地方エリアでは、広告を出しても応募が集まりにくい傾向があります。その場合、複数回の掲載が必要となり、結果的に広告コストがかさむリスクがあります。
また、クリック課金型の求人広告のなかには無料で掲載できるものもありますが、その場合はサイト内での表示順位が下がるため、求職者に見つけてもらいにくくなります。さらに、職種によってはクリック単価が高騰してしまうことや、運用の仕方によってはクリックはされるものの応募につながらないケースもあります。そのため、費用対効果を高めるには戦略的な運用が欠かせません。
採用担当者の工数が増える
求人広告経由では、応募者とのやり取りや面接調整、合否連絡などを企業側で対応する必要があります。応募数が多ければ書類選考や面接対応の工数が増え、採用担当者の負担が大きくなります。
また、応募者のなかには条件にあわない人材も含まれるため、母集団を広げられる一方でスクリーニング作業に時間を取られる点もデメリットです。
人材紹介のメリット
人材紹介は、採用の工数を大幅に削減しつつ、自社の条件にあう候補者と効率的に出会える点が強みです。即戦力を求める採用や、社内リソースが限られている企業にとって有効な手法といえます。
マッチ度の高い人材を紹介してもらえる
人材紹介会社は、保有する登録者データベースのなかから、企業の要件に合致した候補者を選んで紹介してくれます。
担当の人材エージェントが求職者の経歴や志向を理解したうえで推薦するため、条件にマッチした人材と出会える可能性が高いといえるでしょう。専門スキルや経験が必要な職種や、幹部候補など採用難易度の高いポジションに適しています。
採用担当者の負担を軽減できる
人材紹介では、求人作成のサポートから応募者の推薦、面接日程の調整、条件交渉までをコンサルタントが代行してくれます。
そのため、企業側は面接と最終判断に集中でき、採用担当者の工数を大幅に削減できます。また、初期費用がかからず、採用が成立した時点で費用が発生する成功報酬型である点も安心材料です。
人材紹介のデメリット
人材紹介は効率的に即戦力人材と出会える一方で、注意すべきデメリットもあります。紹介手数料の高さや候補者数が限られるといった側面は、利用を検討するうえで念頭に置くようにしましょう。
採用コストが高額になりやすい
人材紹介は成功報酬型である分、無駄打ちが少ない反面、採用が決まった際に支払う紹介料は高額です。一般的に採用者の理論年収の30〜40%が相場とされるため、年間で複数名の採用を検討している場合、採用コストが大きく膨らむ点には注意が必要です。
紹介される人材が限られる
人材紹介は、紹介会社のデータベースに登録している求職者のなかから候補者を選ぶ仕組みのため、常に十分な数の人材が紹介されるとは限りません。タイミングによっては希望条件にあう人材が少なく、採用までに時間がかかるケースもあります。
また、複数の企業に同時に紹介されている候補者も多く、内定を出しても辞退されるリスクがある点もデメリットといえるでしょう。
中途採用で求人広告がおすすめのケース
求人広告は、幅広い人材にリーチできるため、一定の条件下では非常に有効な手法です。採用人数やターゲット層によっては、人材紹介よりもコストパフォーマンスが高くなる場合があります。ここでは、求人広告が効果を発揮しやすいケースを解説します。
複数名を同時に採用したい場合
営業職や店舗スタッフなど、一定数以上の採用が必要な場合は求人広告が適しています。人材紹介では、ひとりあたりの紹介料が高額になるため、採用人数が多いとコストが膨らみがちです。対して求人広告であれば、1回の掲載費用で複数名の応募を獲得できる可能性があり、ひとりあたりの採用単価を抑えやすいのがメリットです。
経験浅めや若手層を採用したい場合
社会人経験1〜5年程度の若手層や、ポテンシャル採用を行いたい場合も求人広告が有効です。人材紹介会社のデータベースはハイキャリア層に偏りやすい傾向があるため、若手や第二新卒層へのアプローチには求人広告の方が得意です。
幅広い母集団から応募を募ることで、自社の育成方針にあった人材を発掘しやすくなります。
母集団獲得についてはこちらのコラムもご覧ください。

中途採用で人材紹介がおすすめのケース
人材紹介は採用コストが高くなりやすい反面、効率よく即戦力人材を獲得できるのが大きな強みです。
とくに、採用要件が厳しい場合や、スピードが求められるケースでは、求人広告よりも効果を発揮します。人材紹介が適している代表的なケースをふたつご紹介します。
専門スキルや経験が必須のポジション
エンジニア、経理財務、医療専門職、管理職など、特定のスキルや経験が必須のポジションでは人材紹介が有効です。求人広告では応募数が少なくなりがちですが、人材エージェントが登録者のスキルや経歴を把握しているため、条件にマッチする人材を効率的に推薦してもらえます。
したがって採用難易度が高い職種ほど、人材紹介サービスを活用するメリットは大きいといえるでしょう。
採用担当者のリソースが限られている場合
人材紹介では、候補者の推薦や日程調整、条件交渉などを人材エージェントが代行してくれるため、採用担当者の負担を大幅に軽減できます。
少人数の人事部門や、日常業務と採用活動を兼任している場合に有効です。応募者対応に追われることなく、面接や最終判断といったコア業務に集中できるため、効率的に採用を進められます。
中途採用には採用管理システム(ATS)の活用もおすすめ
求人広告・人材紹介のいずれを活用する場合でも、採用活動を効率的に進めるには、採用管理システム(ATS)の導入がおすすめです。採用管理システム(ATS)を利用することで、応募者情報の一元管理、選考ステータスの見える化、メール配信や面接日程調整の自動化などが可能になり、採用担当者の工数を大幅に削減できます。
また、求人広告での応募効果を高めたい場合には、応募者データを蓄積・分析して次回の改善につなげることができます。人材紹介を利用する際も、複数の紹介会社からの候補者情報を一元的に管理できるため、抜け漏れを防ぎスピード感のある採用を実現できます。
数ある採用管理システム(ATS)のなかでも「アットカンパニー」は、予算をおさえつつ採用業務を効率化したい企業にもおすすめです。候補者管理から選考進捗の共有まで一括で対応でき、採用業務を丸ごと効率化できます。
求人広告・人材紹介のどちらを選ぶ場合でも、採用管理システム(ATS)をうまく活用することで採用成果を最大化できるでしょう。
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まとめ:求人広告と人材紹介を使い分けるのが中途採用のカギ
中途採用を成功させるには、求人広告と人材紹介のそれぞれの特徴を理解し、自社の採用ニーズにあわせて使い分けることが大切です。複数名の採用や若手層の募集には求人広告が適し、専門スキルを持つ即戦力やハイクラス層の採用には人材紹介が有効です。ただし、どちらを選んでも採用活動には一定のコストと工数が発生し、効率的な管理が求められます。
そこで役立つのが、採用管理システム(ATS)の活用です。採用管理システム(ATS)を導入することで、求人の作成・管理から応募者情報の一元管理、選考フローの見える化までを効率化でき、採用担当者の負担を軽減しながら採用精度を高められます。
「アットカンパニー」は、応募効果を最大化しながら、採用ミスマッチを防ぐための仕組みを導入しているため、中途採用の業務効率化に貢献します。採用活動の効率化と成果を両立させたい場合は、ぜひアットカンパニーをご活用ください。
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