求職者が求人をチェックする際、仕事内容は気になるポイントのひとつです。仕事内容が魅力的に書かれていれば、求職者に興味を持ってもらい、応募意欲を引き出せるでしょう。
一方、仕事内容が明確で具体的に記載されていないと、求職者はその会社で働くイメージを掴めず、応募を躊躇してしまうため、応募にいたらないでしょう。
それでは、仕事内容を魅力的に書くにはどのようにすればよいのでしょうか? 本コラムでは、応募が集まりやすい仕事内容の書き方を解説しますので、ぜひご参考にしてください。
目次
求人における仕事内容の重要性とは
求人における「仕事内容」は、求職者にとって非常に重要な要素のひとつです。2023年にジョブズリサーチセンターが実施した「求職者の動向・意識調査」によると、求職者が仕事探しの際に重視したポイントとして「勤務日数」「勤務地」「勤務時間」に続いて、「仕事内容」が上位にランクインしています。この調査から、給与や福利厚生よりも仕事内容を重視していることがわかります。
また、ヒトクルが実施した調査(【調査概要】調査対象/静岡県内の転職経験者 20代・30代男女100人調査期間/2021年4月22日~4月26日 調査方法/楽天リサーチモニターを利用したWEBアンケート)では、「情報不足が原因で応募を見送る経験がある」との回答が約9割占めていることがわかりました。
求人の作成において仕事内容をしっかりと記載することは、求職者に安心感を与え、応募を促すうえで重要なポイントといえるでしょう。
求人の仕事内容欄に記載すべき項目とは
求人の仕事内容欄は、求職者の応募を左右する重要な項目です。求職者自身が、具体的な業務内容や職場環境を理解して、その仕事に向いているかどうかを判断するため、できる限り情報を網羅することが求められます。具体的には次のような項目を記載するとよいでしょう。
- 自社の事業内容・サービス内容
- 業務内容の詳細・作業手順
- 1日の仕事の流れ
- 業務ノルマの有無
- 職場の雰囲気・チーム体制
- 将来のキャリアステップ
続いて、各項目をそれぞれ解説します。
自社の事業内容・サービス内容
自社の事業内容やサービス内容をしっかりと伝えることは、求人において重要な役割を果たします。まず、求職者は自分が携わる業務の背景や会社のミッションを理解したうえで、働く意義や方向性を掴むことができます。
たとえば、運送業であれば、「主にどのような荷物を取り扱うのか」「配送エリアはどこなのか」を伝える必要がありますし、介護事業であれば「提供している介護サービスの種類」や「利用者層」を明確にすることが必要です。
これにより、求職者が自分のスキルや経験がその業務に適しているかどうかを判断しやすくなります。さらに、自社のビジョンや強みを明確に記載することで、求職者に「この企業で成長できる」と感じさせることができ、応募意欲を高める効果があります。
業務内容の詳細・作業手順
業務内容は求職者にとってもっとも重要な情報のひとつです。所属する部門や担当する仕事の役割や目的、具体的な業務の流れや作業手順を明示することで、求職者がその仕事を実際にしている姿をイメージしやすくなります。
たとえば、検品・仕分け作業であれば「1日あたりの作業件数」「扱う商品の重さ」「どのような手順で作業を進めるのか」などを記載すると、求職者が業務の内容や流れをイメージしやすくなります。
こうした詳細な情報をもとに、求職者はその業務が自分にとって適しているかどうかが判断できるため、応募を後押しする大きな要因となります。また、業務の全体像を理解できると、入社後のギャップを減らし、ミスマッチによる離職を防ぐことにもつながります。
1日の仕事の流れ
求職者にとって、入社後の1日の仕事の流れがどのようになっているかを知ることは、働く環境をイメージするうえで重要です。たとえば、訪問介護サービスであれば、利用者宅への訪問時間や休憩時間、報告業務がどのような流れで進められるかを明示します。
このように1日のスケジュールが明示されていれば、業務量や業務の進め方が理解でき、不安が軽減されるでしょう。また、入社後の認識相違が減ることで、ミスマッチによる早期退職を防ぎます。
業務ノルマの有無
業務におけるノルマの有無は、求職者の印象に大きく影響します。もしノルマが存在する場合、どのような目標が設定され、どのように達成すべきかを詳細に説明することが大切です。
たとえば、営業職であれば「1か月で3件の成約が目標」や「入社後はテレアポがメインで1日あたり100件の架電が目標」といった具体的なノルマや目標を提示することで、業務に対するプレッシャーの度合いを把握しやすくなります。
またノルマがある場合は、その達成に向けたサポート体制やチームでの協力体制を記載しておくと、求職者に安心感やポジティブな印象を持たせることができます。
職場の雰囲気・チーム体制
職場の雰囲気やチーム体制を伝えることは、求職者が自分がその職場でどのように働けるかといったイメージを持ちやすくします。
たとえば、平均年齢や男女比といった属性情報のほか、「当社は社長も含めて、〇〇さんと呼びあっています」「子育てママが3名在籍しており、ワークライフバランスを応援しています」といった具体的な説明が、求職者にとって安心材料となります。
また、配属される部署の人数やチームとしての目標、フォロー体制などを詳細に記載しておくと、求職者は入社後のイメージを持ちやすくなります。
将来のキャリアパス
将来のキャリアパスについて会社のサポートがあることは、求職者にとって大きな魅力に映ります。どのようなスキルを身につけ、どのようにキャリアアップできるかを示すことで、長期的に働くメリットを感じてもらいやすくなるでしょう。
たとえば、「入社後、リーダー職や管理職へ昇進するチャンスがあり、研修や資格取得の支援がある」といった情報を記載することで、求職者に将来の成長をイメージさせることができます。さらに、実際に昇進した従業員の例を挙げることで、納得感や安心感を与えられるでしょう。
応募が集まりやすい仕事内容の書き方
求人を作成する際、ただ単に業務内容を記載するだけでは、求職者の関心を惹くことは容易ではありません。
応募が集まりやすい求人を作成するには、求職者が自分にあった職場かどうかを判断しやすくするための工夫が必要です。ここでは、応募を集めやすくするための仕事内容の書き方のコツを解説します。
ペルソナを意識して書く
求人を作成する際には、求職者の具体的な人物像である「ペルソナ」を意識して書くことが重要です。ペルソナが明確でない場合、漠然とした内容になり、求職者の関心を惹くことが難しかったり、要件を満たさない応募が増えたりします。
したがって、広く浅くよりも、特定の人物に向けて訴求することが大切です。求職者側も、求人募集をみた時に「自分が求めていた職場だ」「ここでなら自分らしく働けそう」と感じやすくなるため、ミスマッチも防げるでしょう。
NG例
「運転ができる方を募集します。経験や資格は不問です」
OK例
「中型免許をお持ちの方で、配送経験が2年以上ある方を歓迎します。運送エリアは関東圏が中心で、地理に詳しい方は即戦力として活躍できます」
5W1Hを意識して具体的に書く
求職者に仕事内容をわかりやすく伝えるためには、「5W1H」を意識して書くことが効果的です。5W1Hとは、「Who(誰が)」「What(なにを)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」という質問に答える形式です。これにより、仕事内容が理解しやすくなり、応募意欲を高める効果が期待できます。
NG例
「倉庫内で仕分け業務全般をお願いします。誰でも簡単にできる仕事です」
OK例
「毎日午前8時に配送センターに集合し、5名のチームに分かれて、小物・雑貨製品の仕分けをします。1時間あたり100件程度の仕分けを行い、出荷時間に間にあうように作業を進めていただきますが、最新の検品システムを導入しているため、効率的に進めることが可能です」
仕事のやりがいや魅力を書く
仕事のやりがいや魅力についての記載があると、求職者にその仕事がただの作業ではなく、どのような達成感や充実感が得られるかを伝えることができます。とくに体力的・精神的な負担が大きい仕事の場合は、この点を強調することで応募率向上につながります。
NG例
「毎日同じルートで商品を配送するだけなので、難しいことはありません」
OK例
「安全運転で商品を時間どおりに届け、お客様から直接感謝の言葉をいただく瞬間が大きなやりがいです。また、配送ルートの最適化を自分で考えることで、業務効率を高められる達成感も味わえます」
仕事で得られるベネフィットを書く
仕事を通じて得られる具体的なベネフィットを記載することで、求職者にとってその仕事が単なる収入源以上の価値を持つことを伝えられます。スキルアップや福利厚生の充実度、キャリアアップの機会などを詳細に説明することが重要です。
NG例
「入社後は研修制度が充実していますので、飲食業界未経験の方でも安心です」
OK例
「当社では、外国人のお客様が多いため、月2回外部講師を招いて英会話学習を開催しています。仕事に活かせることはもちろん、英語を覚えたことで世界が広がったというスタッフも多くいます」
仕事内容を書く際の注意点
求人に記載する仕事内容は、求職者にとって会社や仕事を判断するための重要な情報源です。そのため、正確で誠実な情報を提供することが大切です。ここでは、仕事内容を書く際に気をつけるべき注意点を解説します。
嘘は書かず事実のみ書く
仕事内容に関する情報は、正確かつ事実にもとづいて記載することが基本です。とにかく応募を増やそうとして業務内容や待遇を実際より、よくみせようとしたり、現実と異なる内容を書いたりすると、入社後のトラブルにつながります。
悪質な場合は、求人詐欺に該当し法令に抵触する可能性もあります。嘘かどうかの判断だけではなく求職者がどう理解するのか誠実な情報提供を心がけ、正直な記述をすることが企業と求職者の信頼関係を築く第一歩です。
誇張表現にならないよう意識する
求人を作成する際は、事実を大げさに書くなど誇張表現にならないように意識しましょう。たとえば、合理的な根拠がなく「◯◯業界でNo.1の会社です」といった表現は、景品表示法に抵触します。また、「体を動かす仕事なので、働きながら痩せます」といった表現は薬機法に抵触するため注意しましょう。
結果として企業としての社会的信頼が損なわれることにもつながるため、広告に関連した法律を守りつつ、正確な情報を提供することが大切です。
よい面ばかり書かない
仕事内容を魅力的にみせようとするあまり、よい面ばかりを強調しがちです。しかし、現実として仕事には大変な側面もあります。これを隠してしまうと、入社後に求職者が「聞いていた内容と違う」と感じ、早期退職につながりかねません。
求職者は、よい情報ばかりをみると、かえって不信感を抱く傾向があります。「基本的に残業はありませんが、繁忙期の◯月は残業があります」「ノルマはありませんが、個人の業績に応じて昇給額と賞与額を決定します」など、あらかじめ把握して欲しいポイントを記載することで、求職者の納得度を高めることが可能です。
仕事内容の書き方を改善するポイント
仕事内容の書き方を改善するには、より具体的で共感を呼ぶ内容を意識することが欠かせません。そのためには、実際の業務を深く理解し、リアルな視点から仕事の魅力や現実を伝えることが重要です。ここでは、仕事内容の書き方を改善するための具体的なポイントをご紹介します。
ペルソナに近い従業員にインタビューをする
ペルソナに近い従業員にインタビューを行うことは、求人の内容を改善するために非常に効果的です。実際にその業務に従事している従業員の経験や意見を反映することで、仕事内容がよりリアルで具体的なものになります。また、求職者が自分の働く姿をよりイメージしやすくなり、応募意欲を高める効果があります。入社当時の苦労やその後の成長、職場での支えなど、具体的なエピソードを取り入れると、求職者にとって共感しやすい内容に仕上がるでしょう。
作成した求人の内容を従業員にもみてもらう
求人を作成した後に、実際に現場で働いている従業員にも確認してもらうことは、求人に記載された業務内容が現実とかけ離れていないかをチェックするうえで、非常に重要です。
これにより、求職者が実際の職場での業務内容や職場環境をより理解しやすくなり、採用後の定着率も向上します。
面接時にアンケートを取る
求人の内容の改善を図るためには、求職者にアンケートを依頼して回答してもらうことも有効です。面接の際に、求人に記載された仕事内容や企業の情報について、求職者がどのように感じたか、また不明点や改善点がなかったかなどは、次回以降の求人作成に活かせます。
実際の求職者の声が反映され、より求職者目線に立った求人は、結果的に応募率の向上やミスマッチの減少につながるでしょう。
まとめ:求人における仕事内容を改善して、応募数を増やしましょう!
求人における「仕事内容」の記載は、求職者が応募を決める重要なポイントです。仕事内容を具体的かつ正確に書くことはもちろん、仕事のやりがいや魅力を伝えることで、求職者は「この職場で働きたい!」と感じやすくなるでしょう。
そもそも、自社の仕事の魅力がわからないと感じる場合は、従業員にインタビューをしたり、作成した求人をみてもらうことで、実際の現場に即したリアルで魅力的な求人に仕上がります。もし、仕事内容の適切な記載の仕方がわからない方や、どのように改善したらよいかお悩みを抱えている方は、専門家に相談することがおすすめです。
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