「求人には自社の強みを書くことが大切」と聞いたことがありませんか。自社の強みを見つけ、それを採用活動に活用することで、自社にあった人材を惹きつけることや、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
しかし、なかには「なにが強みかわからない……」「そもそも、うちの会社に魅力なんてない……」と感じる方も多いでしょう。そこで本コラムでは、自社の強みを見つける方法や効果的な求人の書き方について、具体的なポイントを解説していきます。思うように人材が集まらないとお悩みの採用ご担当者様は、ぜひご参考にしてください。
目次
採用活動で「自社の強み」を見つける重要性とは
採用活動において、自社の強みを見つけ、それを効果的に発信することが欠かせません。ここでは、自社の強みが採用活動にもたらす重要性を解説します。
採用市場における競争優位性が高まる
自社の強みを明確にすることで、採用市場において競争優位性が高まります。企業は自社の強みを理解し、それを適切に発信することで、競合他社との差別化を図り、求職者の興味を惹くことが可能です。
たとえば、優れた技術力や独自の組織文化などは、求職者の興味を惹きつけ、企業のブランドイメージを高める要素です。現代のように競争が激しい採用市場では、他社が持たない強みをしっかりと打ち出すことで、より優れた人材の確保が可能になります。結果として、企業の持続的な成長にもつながるでしょう。
自社にあった候補者が集まりやすくなる
企業が持つ強みを明確に打ち出すことで、自社にあった候補者を効率よく集めることができます。求職者は転職活動をする際に、自分の価値観や将来のキャリアパスが企業の特徴や文化に合致しているかを確認します。
そのため、自社の強みを活かして具体的な情報を発信すれば、その強みに共感し、自社にマッチする人材が集まりやすくなります。これにより、入社後のミスマッチを減らし、定着率の向上にもつながります。さらに従業員の会社に対する理解度や満足度が高まることで、パフォーマンスが発揮され組織全体の生産性向上にもつながるでしょう。
従業員間の認識の相違がなくなる
自社の強みを明確にして全社で共有すると、従業員一人ひとりが企業の価値観をより深く理解し、それに応じた行動を取るようになります。たとえば、経営者が「当社の強みはチームワークである」と、普段から従業員に向けて積極的に発信すれば、従業員は自然とチームワークを意識して振る舞うようになります。
これにより、組織としての強みがさらに強化され、採用活動においても一貫性のある行動が可能になります。結果として、候補者に自社の魅力が伝わりやすくなり、適切な人材採用や定着率の向上が期待できるでしょう。
【注意点】過度なアピールは逆効果?
採用活動において自社の強みをアピールすることは重要ですが、過度なアピールは逆効果になる場合があります。ここでは、過度なアピールによって生じる問題について解説します。
不信感を抱かれる
自社の強みを誇張しすぎると、求職者から不信感を抱かれることがあります。たとえば、実現が難しい条件(高収入など)や、仕事内容を実態とそぐわない形でアピールすると、求職者は「本当なのだろうか?実は大変なこともあるのではないか?」といったように、不信感を抱くようになります。
現実と乖離した情報は、入社後の求職者の期待とのギャップを生み、不満や不安を招きかねません。あえて弱みやネガティブな要素も出し、適切でバランスの取れた情報提供が、求職者との信頼関係を築く基本となります。
選考辞退や早期離職につながる
過度なアピールは、選考辞退や早期離職の原因にもなります。自社の強みを強調しすぎると、選考途中に違和感をもたれ選考辞退されたり、入社しても実際の業務内容や職場環境にギャップを感じて短期間で離職してしまいかねません。
結果的に、無駄な採用コストの発生や、現場に負担が強いられ業務の停滞を招くリスクとなります。強みをアピールする際は、誠実かつ現実的な情報を提示し、ミスマッチを防ぐことが重要です。
自社の強みを見つける方法
自社の強みを明確にするといっても、自分たちの強みが明確に把握できていない企業も少なくありません。自社の強みを明確にするためには、さまざまなアプローチを活用して幅広い観点から分析することが重要です。ここでは代表的な手法を解説しますので、ぜひご参考にしてください。
フレームワークを使う
自社の強みを効果的に見つけるためには、フレームワークを用いることで視覚的かつ体系的に整理できます。代表的なものとして「3C分析」と「4P分析」があります。これらは採用活動において、競争優位性を高め、求職者に的確にアピールするのに役立ちます。
3C分析
3C分析は「Company(自社)」「Competitor(競合)」「Customer(顧客や候補者)」の3つの要素にもとづいて分析を行い、自社の市場環境や競争力を把握するためのフレームワークです。
採用における3C分析では、自社の強みや独自性を見つけるために、まず自社の現状(Company)を正確に理解することからはじめます。次に、競合他社の採用戦略やアピールポイント(Competitor)を調査し、それと比較することで自社の優位性を特定します。
最後に、ターゲットとなる求職者(Customer)の求める条件や関心を分析し、企業としてどのような価値を提供できるかを明確にします。これにより、自社がアピールすべきポイントがみえてきます。
4P分析
採用における4P分析は「Philosophy」「People」「Profession」「Privilege」の4つの要素をもとにした分析手法です。このフレームワークを使うことで、企業が持つ多面的な魅力を整理し、求職者が求める情報にあわせた適切なアピールが可能になります。これにより、自社の強みを的確に伝える戦略が構築できます。
- Philosophy=理念・目的
企業の理念やビジョン、創業の背景などを指し、求職者に企業の方向性を整理します。 - People=人材・風土
働く従業員がどんなタイプが多いか、企業カルチャー、社内の雰囲気を整理します。 - Profession=仕事・事業
事業内容や事業の社会的意義、競争優位性、仕事を通じて得られるスキルや経験を整理します。 - Privilege=特権・待遇
給与、福利厚生、働き方の柔軟性、ユニークな制度などを整理します。
採用ペルソナを明確にする
自社に適した人材を惹きつけるためには、採用ペルソナの設定が欠かせません。なぜなら、人によって魅力を感じるポイントは異なるからです。たとえば、Aさんにとっては魅力に感じる情報でも、Bさんには響かないことがあります。
そのため、企業側が自分たちの視点で一方的に情報を発信するのではなく、「どのような人材に来てほしいのか?」を具体的に明確にすることが重要です。ペルソナの人物像を詳細に描くことで、その人材にとって魅力的と感じてもらえる要素を整理し、適切な形で発信することで、共感が得られやすくなります。
なお、採用ペルソナの作り方については、こちらのコラムをご参考にしてください。
採用ペルソナの作り方|求人を書く前にまずやることとは?従業員にアンケートやインタビューをする
自社の強みを明確にするには、従業員へのアンケートやインタビューが有効です。具体的には、志望動機、働いてよかったと感じる点、印象に残っているエピソードなどを尋ねることで、自社の魅力を現場の視点から掘り下げることができます。
こうしたフィードバックはリアルで説得力があるため、求職者に対して共感を呼ぶ要素となるでしょう。さらに、現場の意見を反映することで、企業文化や職場環境を実際の姿として伝えられるため、入社後のギャップを防ぐためにも効果的です。
自社をアピールする求人の書き方
企業の求人内容を魅力的にみせるためには、具体的かつリアリティのある情報発信が大切です。ここでは、求職者に響く効果的な方法をご紹介します。
曖昧な言葉は使わない
曖昧な表現では、求職者が具体的なイメージを持つことはできません。たとえば、「アットホームな会社です」「若手が活躍中でエネルギッシュな社風です」といった言葉は一見魅力的にみえても、根拠となる情報が不足しているため共感が得られにくくなります。
求職者にリアルなイメージを持ってもらうために、「社内イベントが年間10回程度あり、従業員同士のコミュニケーションが活発です」「社長も含めてお互いをさん付けで呼び合うなど、フランクな社風です」といったように、具体的な事実をあげて説明することが重要です。
活躍している従業員の声を載せる
企業側が一方的に「当社の強みは◯◯です」と語るよりも、実際に働いている従業員の声を紹介することで、求人の信憑性が大きく増します。たとえば、消費者がショッピングサイトで商品を購入する際に、購入者レビューを参考にするように、採用活動においても求職者は既存従業員の声を信頼する傾向があります。
求人内に従業員の声を掲載したり、採用ホームページに従業員のインタビューを載せると、より共感を呼ぶことができます。また、クチコミサイトにおいて自社の評判をチェックし、ネガティブな印象を持たれないように確認することも重要です。
求人票以外のコンテンツも用意する
自社の魅力を発信する方法は求人票だけにとどまりません。あらかじめ企業の魅力を発信する多様なコンテンツを用意することで、より多くの魅力を求職者に伝えることが可能です。具体的には、従業員のブログやSNS、インタビューや動画コンテンツ、そして採用ホームページなどがあげられます。
手法が異なっても、自社の強みをもとにコンセプトを統一することで、「どこをみても自社らしさが伝わる」状態をつくることができます。
弱みを強みに変える
自社の強みがわからない場合は、自社が抱える弱みを逆手に取り、強みとしてアピールすることもひとつです。たとえば、「作業に時間がかかる」といった点は、「スタッフが心を込めて一つひとつ丁寧に作業している」と表現することで、誠実さや品質へのこだわりとしてアピールできます。
また、「会社規模が小さい」という点も、「社長との距離が近く、意見交換が活発で風通しがよい職場」として説明できます。すべての求職者に魅力を感じてもらおうとすると、実態とかけ離れた過剰な表現になってしまいます。無理によくみせようとするのではなく、自社のありのままの状態をいかに魅力的に伝えることで、結果的に共感が得られやすくなります。
採用管理システム(ATS)の活用もひとつの方法
採用管理システム(ATS)は、企業の採用活動の効率化に役立つツールです。採用管理システム(ATS)では、採用ホームページ作成機能や求人作成機能が備わっているものもあるため、自社の強みを発信することが可能です。
採用ホームページにおいて、会社のカルチャーや価値観を伝えるコンテンツを作成したり、魅力的な待遇や制度をまとめたコンテンツを発信することができるほか、応募者管理機能によって、応募者の選考ステータスを可視化し、スピーディな対応を行うことができます。その結果、求職者が「この企業はやり取りが丁寧で信頼できる」といったように好感を持たれやすくなります。
また、採用管理システム(ATS)は、掲載した求人の閲覧数や応募数といったデータを収集・分析できるため、どういった訴求の仕方が求職者の興味関心を持たれるかを把握することもできます。たとえば、自社の強みを◯◯◯とアピールしたら反応がよかった。など、自社の採用ノウハウが蓄積され、持続的な採用力向上に貢献します。
まとめ|自社の強みを整理することが、魅力的な求人作成への第一歩
採用活動においては、自社の強みを明確にし効果的に発信することが、企業の採用力を高め、適切な人材を集めることにつながります。そもそも自社の強みが明確になっていない場合は、本コラムでご紹介したようなフレームワークの活用や従業員のインタビューが有効です。
さらに、自社の強みを求人にまとめる際には、具体的な表現を心がけ、実態に即した内容でまとめることが大切です。一見、弱みと感じることも、視点を変えれば強みとなり得ます。無理によくみせようとするのではなく、採用活動を通じて自社の強みを磨いていくことを意識しましょう。
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