ハローワークでの就職活動は、求職者にとってどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。求職者の視点を企業側も理解することで、採用活動をより効率良く行うためのヒントを得ることができます。よりよい人材の獲得ができるよう、求職者のハローワーク利用に対する価値観を理解しておきましょう。
本記事では、求職者がハローワークで就職活動をする際の、メリット・デメリットを解説します。ハローワーク募集だけでは効果がでない場合に行うべき、企業側の対策も合わせてご紹介しますので、ぜひご参考ください。
目次
ハローワークとは?
まずは、ハローワークとはどのようなものなのかについて、改めて整理しておきます。
ハローワークの概要
ハローワークは、厚生労働省の管轄で職業紹介・就職支援などを行う、国の就業支援機関です。正式名称を「公共職業安定所」といい、職業紹介・雇用保険・雇用対策の3業務を地域と連携して行っています。令和6年4月時点で、全国のハローワークは544か所。職員数は10,330名、相談員数は18,593名が在籍する、国が提供する雇用セーフティーネットの中心的役割を担う機関です。
ハローワークが提供するサービス
ハローワークでは、求職者向けにさまざまな就職活動支援サービスが用意されています。具体的な就職活動支援サービスは、以下のような内容です。
- 仕事紹介
- 進路相談
- 履歴書・職務経歴書の添削
- 面接対策
- 職業訓練
- 雇用保険などの手続き
- 就職活動に関する各種セミナー
このほか、新卒を対象とした「新卒応援ハローワーク」や、18歳から34歳の支援を対象とした「わかものハローワーク」など、特定の要件を対象とした就職活動の支援も行われています。求職者は主に仕事紹介や進路相談で利用しますが、就職活動中にスキルUPしたい場合は職業訓練を受けられることも、ハローワークならではの特徴です。
ハローワーク利用者は減少傾向にある
ハローワークの利用者数は、令和6年3月時点では新規求職者数は382,819人と報告されており、年々減少傾向にあります。就職率をみても新規求人数831,231 件のうち、就職件数は132,753件で、約1.6割に留まっている状況です。
参考:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について
利用者減少の要因としては少子高齢化による労働者の減少や、民間の求人サイトや転職サービスなど仕事探しの選択肢が増えたことが要因となっています。企業側としては、より多くの求職者へ求人情報を届けられるよう、新しい採用手法の積極的な活用が必要です。ハローワーク利用者の価値観を理解しながら、より効果的な採用手法の活用も検討しておくことが非常に大切でしょう。
ハローワークで就職活動をするメリット
では次に、求職者がハローワークで就職活動を行う、代表的なメリットを解説します。
地域の求人が豊富にある
求職者がハローワークで就職活動を行うメリットとして、地域の求人が豊富にあることが挙げられます。自宅から通える範囲の職場を探している求職者にとっては選択肢が多く、ハローワークを介しての紹介であることから安心して応募することが可能です。一般の求人サイトに掲載されていない求人もあり、自宅近くで働きたい求職者にとっては活用しやすい情報収集の場にもなっています。
就職活動に関連する多様なサポートがある
ハローワークにはキャリアコンサルタントが在籍しており、求職者は無料で就職活動に関する相談ができます。進路やキャリア、面接対策に関することまで相談できるのも、ハローワーク利用の大きなメリットです。このほか伸ばしたいスキルを学べる職業訓練が受けられるなど、就職活動に関する幅広いサポートが受けられます。就職活動の進め方がわからない求職者にとっては、非常に助かるといえるでしょう。
就職活動を自分のペースでできる
ハローワークは営利目的ではなく、あくまで公的な機関であるため、就職活動を自分のペースで進めることができます。民間の人材紹介や派遣業などの場合は、就職を促すために積極的に仕事の紹介が行われる場合もありますが、ハローワークは催促されることはありません。あくまでも求職者主導が前提となるため、ゆっくりと自分のペースで就職活動を進めることができます。
ハローワークで就職活動をするデメリット
求職者がハローワークで就職活動を行う際の、代表的なデメリットは以下の3つです。
企業の雰囲気や特徴がわかりにくい
ハローワークの求人は画像が少なく画一的であることから、求職者は企業の雰囲気や特徴が把握しづらい側面があります。求職者は少ない情報から仕事選びをするため、企業とのミスマッチが起こりやすいことも、デメリットのひとつです。一般的な求人サイトや採用ページに比べると、得られる企業情報が非常に少ない傾向にあるといえます。
応募~内定までのプロセスが面倒
一般的な求人サイトや採用サイト経由での就職活動に比べて、応募~内定までのプロセスが面倒であることも求職者がデメリットと感じる点です。ハローワーク経由の場合は、応募したい企業が決まれば職業相談などを通して担当者へ相談し、まずは紹介状をもらう必要があります。その後面接を受ける企業で紹介状を提出し、内定などの通知はハローワークを経由して、本人に通知される流れです。
企業がハローワークへ面接結果の通知を行う理由は、ハローワーク経由での雇用で助成金が降りるためですが、求職者にとっては直接連絡を取れない内定までのフローに、一定の不満を感じる場合もあります。WEB求人からのシンプルな応募・選考に慣れている世代はとくに、ハローワーク特有の選考プロセスを面倒だと感じる場合もあるでしょう。
利用時間が限られる
一部のハローワークは平日夜間や土曜日も利用できますが、ほとんどは平日夜間や土・日曜日の利用ができないため、求職者が不便に感じることも多いでしょう。日中に勤務している転職希望者層はとくに利用が難しいため、ハローワーク以外の就活手段を選択する一因にもなっていると考えられます。
ハローワークで効果がでない場合の対策
では最後に、ハローワークでの募集で効果がでない場合、企業が行いたい対策をご紹介します。
募集条件の更新や見直し
ハローワークが原因で応募が少ない訳ではなく、募集条件が以前の内容のままであったり、単純に条件が低いことが原因である場合があります。そのため募集方法を見直す前に、まずは自社の募集条件や内容を再度チェックし、同業他社に見劣りするものでないか、時代やニーズに即した条件であるかを確認することが大切です。
募集方法を変更することに意識が行き、自社の条件に目がいかないことも意外と多くあります。まずは基礎となる募集条件をしっかりと確認することから、対策を始めてみてください。
自社のコーポレートサイトや採用サイトを見直す
先にも触れたとおりハローワークで提供される情報だけでは企業の雰囲気や特徴が把握しづらいため、求職者はインターネットの検索などを利用して、自分にあった条件の求人企業のコーポレートサイトや採用サイトで発信されている情報を確認します。自社で発信されている情報が不十分だったり、魅力的ではなかったりすると、求職者の興味を損ねて応募を取り逃がしてしまう可能性もあるため自社のサイトを見直すことは重要です。
求人媒体や求人検索サイトを併用
ハローワークだけでは応募が集まらない場合は、より多くの求職者にリーチできるよう、求人媒体や求人検索サイトなどを併用するのも良策です。これまでは有料の求人媒体が主流となっていましたが、現在ではIndeedなどの無料掲載が可能な求人検索サイトを、多くの企業が活用し始めています。自社の採用ターゲットに合わせて上手く活用することで、より多くの求職者へ募集情報を訴求することができるでしょう。
採用管理システム(ATS)の活用
求人媒体や求人サイトの選定や、それぞれの掲載手続きをより効率的に行いたい場合は、採用管理システム(ATS)の活用をおすすめします。たとえば弊社が提供する採用管理システム(ATS)アットカンパニ―の場合は、求人情報をIndeed、Googleしごと検索、キャリアジェット、求人ボックス、スタンバイ、ディースターNETなどへ、一括掲載することが可能です。それぞれのサービスごとの掲載手続きも不要で、簡単に掲載・更新することができるため、効率的により多くの求職者へリーチすることができます。
また、求人の作成・掲載以外にも、採用サイトの作成や応募者対応、応募者情報の管理などを行うことができるため、採用業務を効率化し、担当者負担の軽減を図ることのできるシステムです。応募数を増やすことはもちろん、組織の採用力向上をご希望の場合は、ぜひこの機会に、採用管理システム(ATS)の活用をご検討ください。
なお、こちらのコラムでもハローワークでの求人について解説していますので、あわせてご参考にしてください。
ハローワークで求人募集をするメリット・デメリットとは? 効果的な募集方法も解説まとめ:求職者視点を理解し、新たな採用手法の併用を
本記事では、求職者がハローワークで就職活動をする際の、メリット・デメリットを解説しました。ハローワーク単体では応募を集めづらいのは、今やどんな企業も同じです。今回ご紹介した、効果が出ない場合に行いたい対策もご参考にしていただき、自社に合った新しい採用手法を積極的に活用することで、採用難の時代を乗り切っていきましょう。
アットカンパニーをご利用の際は、採用ターゲットや課題にあわせた求人の作成を含め、採用活動のサポートも行っています。採用知識の豊富な専任スタッフが、幅広く手厚いサポートを提供していることもアットカンパニーの特徴のひとつです。ハローワークでの募集で応募効果がない時だけでなく、採用の効率化や採用力UPを図りたい際にも、ぜひアットカンパニー活用をご検討ください。