企業が求人広告などで募集活動を行う際、求職者に対して自社の情報や魅力を詳しく伝えることが重要です。たとえば、「募集背景」や「仕事の厳しい側面」もしっかりと盛り込むことで、求職者は自分に適した仕事かどうか判断しやすくなり、入社後のミスマッチや早期離職を防ぐことができます。
しかし、こうした情報を記載するにはノウハウが必要のため、どのように書いたらよいかわからないとお悩みの方も多いでしょう。そこで本コラムでは、求人募集に使える文章テンプレートをご紹介します。
目次
求人募集において掲載情報を充実させる重要性とは
株式会社ニュートラルワークスが行った「企業の採用サイトに関する実態調査」によると、求職者が企業の採用サイトでとくに知りたい情報として、1位は「仕事内容(85.7%)」、2位は「福利厚生制度(70%)」、3位は「昇給や給料等の待遇(69.1%)」という結果が示されました。このことから、求職者は応募前に仕事の詳細や待遇面の具体的な情報を重要視していることがわかります。
一方、企業の採用サイトの質が低いと、約20%の求職者が「志望度が下がった経験がある」と回答しています。とくに不満に感じる点として、「具体的な仕事内容が分からない(55.2%)」や「給与や福利厚生が不透明(52.9%)」、「社内や社員の雰囲気が判りづらい(48.4%)」が挙げられました。
この結果から、情報が不足している場合は、求職者の志望度が下がるリスクがあることがわかります。したがって、企業が採用サイトや求人広告で情報を発信する際は、仕事内容や会社の雰囲気を詳細に伝えることが、求職者の応募意欲を高めるうえで重要であるといえるでしょう。
採用のミスマッチが起きる原因
採用のミスマッチが発生する原因は、企業と候補者の間で情報や認識の相違が挙げられます。それでは、なぜ認識の相違が生まれるのでしょうか? ここでは、採用ミスマッチが生じる主な要因を具体的に3つ解説します。
公開している情報が少ない
企業側が提供する情報が限られていると、採用のミスマッチが発生しやすくなります。たとえば、求人票や採用サイトに記載されている情報が仕事内容や勤務条件といった基本的な内容にとどまっていると、企業文化や職場の雰囲気が十分に伝わりません。
その結果、入社後に「想像と違った」というギャップが生まれやすくなり、早期退職のリスクが高まります。実際に働く環境やチームの文化、成長機会などを事前にしっかりと公開することで、求職者が自身のキャリアイメージと重ね合わせることができ、早期離職やミスマッチを防ぐことが可能です。
よい面しか伝えていない
仕事をするうえで、誰しも大変に感じることや覚悟が必要なことはあります。それにもかかわらず、採用活動でポジティブな側面ばかりを強調し、ネガティブな情報を隠してしまうと、入社後に大きなギャップが生じ、ミスマッチのリスクが高まります。
たとえば、介護職などで「利用者様とのコミュニケーションが楽しい」とアピールしても、実際の介護の現場では想像以上に大変に感じることはたくさんあるものです。そういった現実を伝えずに、よい面ばかり伝えてしまうと、「思っていた仕事と違った」と感じ、不満が募ったり、早期退職につながったりします。
したがって、企業はありのままの姿を伝え、認識の相違やミスマッチが生じないようにすることが大切です。
採用ペルソナが不明瞭
採用ペルソナとは、企業が採用で求める人物像を具体化させたもので、求めるスキルや経験、性格、価値観などが含まれます。このペルソナが明確でないと、求職者と企業の期待する人物像との間にズレが生じ、採用後にミスマッチが発生する可能性が高まります。
たとえば、技術力を重視するのか、チームワークを重んじるのかといった明確な指針がない場合、適した人材を見極めることが難しくなるでしょう。そのため、企業は具体的なスキルセットや求める人物像を定め、それに基づいて面接や選考を進めることが不可欠です。
適切なペルソナ設定は、採用の成功と長期的な定着に直結します。採用ペルソナの作り方はこちらのコラムで解説していますので、ぜひご参考にしてください。
採用ペルソナの作り方|求人を書く前にまずやることとは?役割やミッション、期待することが伝えきれていない
企業が採用したい人材に対して期待する役割やミッションが明確に伝わっていない場合、入社後に「自分が想定していた仕事とは違う」と感じさせることになり、ミスマッチの原因となります。
たとえば、具体的な業務内容や目標を伝えずに採用してしまうと、求職者が自身のスキルをどのように活かすべきかを理解できず、モチベーションの低下につながりかねません。
一方、採用段階で役割やミッション、期待することを詳細に伝えることで、候補者は自分のキャリアビジョンと企業の目指す方向性が一致しているかどうかを判断しやすくなります。
求人募集に使える文章テンプレート
求人広告などで募集内容をまとめる際、単に「仕事内容」「給与」「福利厚生」といった基本的な情報だけを記載するのではなく、求職者が仕事や職場環境についてより深く理解できるように、細部まで説明することが重要です。
とくに、「募集背景」や「仕事の厳しい局面」、「役割・ミッション」、「社風・カルチャー」などを詳しく伝えることで、求職者が入社後のイメージを描きやすくなり、結果的にミスマッチの防止に繋がります。ここでは、求人募集にそのまま使える文章テンプレートをご紹介しますので、ぜひご活用ください。
募集背景
募集背景では、なぜ今このポジションを募集しているのか、その理由をしっかりと伝えることが大切です。企業によって、事業拡大なのか欠員補充なのか、あるいは新規プロジェクト立ち上げなど理由はさまざまです。
これを明確にすることで、求職者に企業が直面している課題や成長の方向性を理解してもらえます。ポイントとして、 採用理由を明確にし、事業の現状や将来的な成長性を伝えましょう。業界の特性にあわせた内容を詳細に記載し、求職者に仕事の意義を感じてもらうことが大切です。
文章例
- 近年、高齢者人口の増加に伴い、介護サービスの需要が増加しています。そうしたなか、当施設でもご利用者様からの問い合わせが増えており、現在の人数では十分な支援ができなくなっています。そこで、利用者様一人ひとりに寄り添ったケアを提供するため、ケアスタッフを新たに募集することになりました。
- ネットショッピングサイトの需要増加とともに、当社の配送件数も年々拡大しています。業績好調につき、新規のドライバー10名を採用します。安定した配送サービスを提供するため、ぜひあなたの力を貸してください。
- 長年当社で活躍してくださっていた事務員さんが引っ越しのため退職することになりました。そこで、新しい事務員さんを久々に募集します! 電話応対や書類作成をサポートしてくださる方、ぜひご応募お待ちしています。
仕事の厳しい局面
求人情報においては、仕事の厳しい側面も誠実に伝えることが重要です。大変なことを隠し、よい面ばかりを強調してしまうと、入社後のギャップや早期退職につながるリスクがあります。また、「よいことばかり書いてあるけれど、実は大変な仕事なのではないか?」と不安を抱くこともあるでしょう。
大変なこともあえて正直に伝えることで、求職者から信頼を得られたり、大変なことも理解したうえで応募してくれる方があらわれたりするものです。求人に記載する際は、業務のなかで覚悟が必要なことを具体的に示します。それに加え、周囲の支援や育成体制もあわせて記載し、求職者に前向きな印象を与えることが大切です。
文章例
- 夜勤が月に5〜6回あります。体力的な負担も大きいですが、夜勤手当があるので稼働に見合った報酬が得られます。また、夜勤は2名体制のため、途中で仮眠を取ることも可能です。
- 作業自体はそこまで難しくありませんが、長時間の立ち仕事や大量の荷物を取り扱うため、とくにはじめの数週間は疲れを感じるかもしれません。チーム全体で業務を分担し、無理なく作業を進めるよう工夫をしています。
- 介護現場では、臨機応変な対応が求められる場面が多く、慣れないうちは精神的にも体力的にも負担を感じられるかもしれません。しかし、現在活躍しているスタッフはその経験を乗り越えた方ばかりなので、悩みや困ったことはいつでも相談に乗ります。スタッフ同士が密にコミュニケーションを取り、チーム全体で助けあう文化が根付いています。
役割・ミッション
求職者に対して、そのポジションで期待される具体的な役割やミッションを伝えることで、求職者は自分が何を成し遂げるべきかを理解しやすくなります。これにより、入社後のギャップを減らし、ミッションに共感する人材を集めやすくなります。
ポイントとしては、求職者が担うべき具体的な役割や目標を明確にし、チームや組織全体にどのように貢献するのかを伝えます。業界特有のミッションや求められるスキルも盛り込むと効果的です。
文章例
- 介護スタッフとして、利用者様の生活を支援し、日常生活の質を向上させることがあなたのミッションです。チームと連携しながら、一人ひとりに適したケアを提供し、心身ともに支える役割を担っていただきます。
- 配送スタッフとして、商品をお客さまのもとに正確かつ迅速に届けることが役割です。時間内に確実な配送を行い、遅延しないことが求められます。
- デイサービススタッフとして、利用者様が安心して過ごせる環境を提供するのがミッションです。日々の業務を通じて、地域社会に貢献し、高齢者の生活を支える重要な役割を担っていただきます。
社風・カルチャー
社風や企業文化を明記することで、求職者が自社にフィットするかどうかを判断しやすくなります。たとえば、チームワークやコミュニケーションが求められる職場であれば、どのような職場文化が根付いているか、詳しく説明しましょう。
ポイントとしては、企業の価値観やビジョン、日常のコミュニケーションについて詳細に説明し、職場の雰囲気をリアルに伝えます。文章だけで伝えきれない場合は、写真や動画を活用することも有効です。
文章例
- 当施設では、利用者様に寄り添ったケアを大切にしており、スタッフ全員が一丸となってサポートする文化が根付いています。チームワークを高めるために、お互いをニックネームで呼びあったり、ランチミーティングをするなどフランクな関係を築いています。
- 当社は、お客様満足度地域No1を目標に掲げ、チーム一丸となって仕事に向きあっています。お客様満足度表彰を月1回開催しており、お互いのよい仕事を共有したり称えあったりしています。
- 社長との距離が近く、家族的な温かみがある職場です。休憩時間や仕事の合間には、お互いに趣味の話をしたり、冗談をいいあったりして和やかな雰囲気で働いています。
求人募集の情報を詳しくまとめるコツ
求人募集の情報を効果的に伝えるためには、求職者に具体的なイメージを持ってもらえるように、詳細にまとめることが重要です。しかし、むやみに情報を多くしすぎると、募集内容の文章が長くなり過ぎたり、読みにくくなったりする可能性があります。
そのため、求人内容はシンプルかつ的確にポイントを押さえる必要があります。ここでは、求人募集を効果的に作成するための具体的な方法をご紹介します。
現場を知る
そもそも求職者に十分な情報を提供するためには、実際にその職務や業務環境を深く理解することが欠かせません。たとえば、現場で働くスタッフにインタビューを行ったり、自らその職務を体験したりすることで、仕事内容や職場の雰囲気をより正確に伝えることができます。
これにより、求職者は入社後にどのような仕事をするのかを具体的にイメージできるようになります。実際に現場で得られた情報によって、求人内容にリアリティが生まれ、求職者の関心を惹くことが可能です。
他社の求人を研究する
他社の求人を研究することも重要な取り組みです。同業他社がどのように求人情報を発信しているかをチェックし分析することで、参考になる書き方を学ぶことや自社の求人募集を見直すきっかけになるでしょう。
また、競合他社と比較するなかで、自社の弱みや課題が明確になります。それらを改善することで、採用力が高まり、より魅力的な情報を求人に反映させることが可能です。
求職者や内定者にアンケートを取る
求職者や内定者に対してアンケートを取ることで、実際にどのような情報が求められているかを知るきっかけになります。興味を持ったポイントや不安に感じた点を把握することで、求職者目線に立った募集内容に近づくでしょう。
たとえば、どのような情報がもっと欲しかったか、どの部分が応募の決め手になったかといった質問を通じて、求職者の心理をより深く理解し、的確に情報を伝えられるようになります。このようにアンケート結果をもとに求人情報を改善することで、より多くの求職者を惹きつけることが可能です。
外部の専門家に相談する
求人作成に関して専門的な知見を持つ外部の専門家に相談することも有効です。専門家は、多くの採用事例に基づいた知識を持っており、より効果的な求人作成や、ターゲットにあわせた内容の調整方法を提案してくれます。
また、求人票の構成や表現方法についてプロの視点を取り入れることで、より精度の高い求人情報を作成できるようになります。自社の内側だけでなく、外部の視点を取り入れることで、求人の質を向上させることができるでしょう。
写真や動画コンテンツも併用する
求人情報を効果的に伝えるために、写真や動画コンテンツを活用することは非常に有効です。とくに、採用サイトや求人サイトでは文章のみで情報を伝えると、内容が膨大になりすぎてしまい、求職者が理解しづらくなることがあります。
その点、動画や写真は視覚的に分かりやすく、求職者に職場の雰囲気や仕事内容を明確に伝えることができます。たとえば、現場で働くスタッフのインタビュー動画や、日常の業務風景を映した写真を掲載することで、求職者にリアルなイメージを持たせることができます。
また、SNSを活用して社内の様子を発信することも、求職者に親近感を与えるための有効な手段です。視覚的なコンテンツをうまく取り入れることで、文章だけでは伝わりにくい職場の雰囲気や文化をアピールすることができます。
まとめ:求人内容を充実させて魅力を伝えましょう!
求人募集の文章は、単に募集条件だけを羅列するのではなく、あえて仕事の厳しさを伝えたり、職場の雰囲気を詳細に伝えたりすることが重要です。本コラムでご紹介した文章例をご参考にしていただきながら、ぜひ求人内容を充実させて職場の魅力を伝えてください。
もし、どのように記載すればよいかわからない方や、そもそも自社のどこに魅力があるかわからないとお悩みを抱えている方は、専門家に相談することをおすすめします。
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