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固定残業代とは? 求人への正しい書き方と注意点を解説|自動計算シートつき

固定残業代とは?求人への正しい書き方

求人を作成する際に困ることも多いのが、固定残業代の書き方です。自社で導入していることを把握していても、どう書けばよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。求人への賃金の記載ははっきりと明示する義務があります。この機会に固定残業代の制度を再確認し、書き方や計算方法を把握しておくことが良策です。

本記事では、固定残業代の概要と正しい書き方、注意点や計算方法を解説します。また、給与総額は決まっているけれど、固定残業代の目安がわからないという方に向けて、数値を入力するだけで固定残業代が割り出せる自動計算シートもご用意しましたので、ぜひご活用ください。

固定残業代制度とは

まずはじめに、固定残業代制度とはどのような制度なのか、その概要や求人への表記義務化の背景について解説します。

固定残業代制度の概要

固定残業代制度とは、事前に従業員への説明・通知を実施したうえで、実際の残業時間に関わらず、あらかじめ決めた残業代を支払う制度のことです。仮に固定残業時間を月10時間で契約している場合は、月10時間までは別途残業代を支払う必要はありません。一方で、決められた固定残業時間を超えて勤務した場合は、超過した時間に応じた残業代の支払いが別途必要です。

固定残業代制度を導入するメリットは、支払う残業代の増減が少なくなるため、経営資金の見通しが立てやすくなることにあります。先々の資金計画が行えることによって、経営方針も立てやすい利点があるでしょう。また、個別の残業代計算が簡単になるため、給与計算など人事業務の負担軽減につながるメリットもあります。求人への固定残業代の書き方などを正確に把握しておくことで、求職者との認識のズレを防ぐことも非常に重要です。

「みなし残業」と「みなし労働制」の違いに注意

固定残業代制度は「みなし残業」とも呼ばれますが、この「みなし残業」と「みなし労働制」とは内容がまったく異なるので注意が必要です。「みなし労働制」とは、労働時間の管理が難しい従業員に対して、深夜労働や休日労働を除いた1日のみなし労働時間を設定し、その時間分勤務したものとみなして給与を支払う制度のことをいいます。主に外勤の多い営業職や在宅勤務に用いられることの多い制度です。

一方で「みなし残業」はあらかじめ固定残業時間が決められているため、その時間を超過して勤務すれば、その分の残業代を別途支払う必要があります。「みなし労働制」の場合はもともと残業代が含まれているため、新たに残業代を支払う必要がありません。「みなし残業」と「みなし労働制」の違いを把握し、求人にしっかり反映しなければ、知らぬ間に法に触れることもあります。

固定残業代の表記義務化の背景

固定残業代を求人に明記することは、若者雇用促進法によって義務づけられています。具体的な書き方は後述しますが、就業規則や雇用契約書を用いた従業員への事前説明と同様、固定残業代の明記が必要であることをまずは把握しておくことが大切です。

2015年10月に若者雇用促進法により、固定残業代を求人に明記することが義務化されましたが、その背景には、求人に明記しなかったことによる、雇用主と従業員間のトラブルが頻発していたことがあります。仮に悪意のない記載漏れでもトラブルに発展することがあるため、雇用主側は法改正が行われた際には都度チェックが必要です。みなし残業を支給しているため基本給を抑えている場合は、最低賃金に触れていないか定期的な確認も怠ってはいけません。誤って法に触れないよう、チェック体制も整えておく必要があるでしょう。

求人における固定残業代の正しい書き方

では、ここからは求人に記載する際の、正しい固定残業代の書き方について解説します。

固定残業代制度を導入する場合の表記義務

固定残業代制度を導入する場合は、求人や募集要項に明記する義務があります。具体的に表記が必要なのは下記3点です。

①固定残業代を除いた基本給の額

②固定残業代の対象となる労働時間数とその金額

③固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨の説明

参考:厚生労働省|固定残業代 を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします

固定残業代の正しい書き方とNG例

固定残業代の書き方として、正しい例とNG例をご紹介します。

≪正しい例≫

基本給:27万円
(固定残業代:月4万円、30時間相当を含む)
※30時間の超過分については、割増賃金を追加支給する

≪NG例≫

基本給:27万円
(基本給に固定残業代を含む)

正しい例では、固定残業代が月何時間あり、支給額はいくらであるか。また、固定残業時間を超えた場合の残業代を支払う旨も明記しています。一方でNG例は、基本給に固定残業代が含まれていることが記載されているものの、時間や金額、超過分に対しての支給について明示されていません。

固定残業代の表記漏れにはペナルティも

固定残業代の表記漏れの場合は、ハローワークや一部求人媒体へ掲載することができません。刑罰などの直接的な罰則はありませんが、表記漏れによりトラブルが発生した場合は裁判に発展する可能性もあります。勤務開始日に遡って残業代の支払いを命じられた判例もありますので、求人の書き方には充分に注意しましょう。

残業代の基本的な計算方法

そもそも固定残業代に含まれる残業代の金額が、どのような計算式で求められるのか曖昧になっていることも多くみられます。ここでは残業代の詳細と計算方法について解説します。

残業代はどこから発生するか

残業代は労働時間を超えた場合に発生しますが、自社で決めた所定労働時間を越えた場合と、法律で定められた法定労働時間を越えた場合で、それぞれ計算方法が異なります。各計算方法は以下の通りです。

1時間あたりの給与単価の計算式

所定労働時間に対する賃金 ÷ 1か月の平均所定労働時間

【例】基本給20万円で所定労働時間が168時間の場合
20万円÷168時間=1,190円(小数点以下切り捨て)となります。

所定労働時間を超えた場合

所定労働時間を超えた場合は、月額の給与を1時間あたりの給与単価に変換し、単純に残業時間を掛けて計算を行います。所定労働時間を超えた場合も法定労働時間の範囲内であれば、割増賃金の支払いは必要ありません。

法定労働時間を超えた場合

法定労働時間を超えた場合は、超過残業時間に基礎時給に割増率をかけて計算を行います。割増率は深夜勤務や休日勤務などによっても異なるため、この後ご紹介する一覧表をご参考にしてください。

残業時の割増賃金率一覧

法定労働時間を超えた場合の割増率を、下記の表にまとめました。残業計算を行う際の参考としてご活用ください。

残業条件割増率
法定労働時間超過25%
法定休日出勤35%
深夜勤務(22時~5時)25%
法定時間外の深夜勤務(①+③)50%
法定休日の深夜勤務(②+③)60%

計算方法と具体例

残業代はベースとなる1時間あたりの給与単価をまずは明確にし、残業時間や割増率をかけて計算します。

1時間あたりの給与単価の計算式

所定労働時間に対する賃金 ÷ 1か月の平均所定労働時間

【例】基本給20万円で所定労働時間が168時間の場合20万円÷168時間=1,190円(小数点以下切り捨て)となります。

固定残業代の計算式|法定内残業の場合

1時間あたりの給与単価 × 固定残業代の対象時間

【例】固定残業代の対象時間10時間の場合1,190円×10時間=11,900円

固定残業代の計算式|法定外残業の場合

1時間あたりの給与単価 × 割増賃金率 × 固定残業代の対象時間

【例】法定時間外労働20時間の場合(深夜・休日勤務なし)1,190円×割増賃金率1.25×20時間=29,750円

このようにして残業代を計算することができます。

月の給与総額から固定残業代を算出する

給与総額は決まっているけれど、固定残業代をどのくらい含めたらよいかお悩みの方は、数値を入力するだけで固定残業代の目安が割り出せる、自動計算シートをご用意しました。

2024年10月に最低賃金の改定も予定されています。設定した金額が最低賃金を下回っていないかも一目で確認できる便利なシートです。ぜひご活用ください。

固定残業代の計算シート(Excel)

なお、最低賃金についてはこちらのコラムでご紹介していますので、あわせてご確認ください。

【2024年10月改定】最低賃金はいくらになる? 企業がとるべき対策とは?

求人における固定残業代表記の注意点と対策

求人などに固定残業代を明記するうえで、注意しておくべきポイントと対策を解説します。

改正ごとに計算や表記の見直しが必要

最低賃金や法令の改正が行われた場合は、現在掲載中の求人を見直し、必要に応じて再計算・表記の修正が必要です。一度固定残業制度の表記をすれば放っておいてOKという訳ではありませんので、勤務実態とのズレがでないよう都度表記の確認をすることが求められます。

法令チェックの体制を整えておく

求人表記は法令の改正に伴い見直しが必要です。万が一、改正を見逃すとトラブルの原因になる可能性があります。そのため、法律に抵触しないよう、定期的に法令をチェックする仕組みを整えておくと安心です。法令違反やトラブルは、意図せず改正を見逃した場合でも同様に発生します。組織の信頼を損なうこともあるため、定期的な法令チェックを強くおすすめします。

採用管理システム(ATS)の活用も良策

法改正のチェックはリソースが確保できなかったり、見落としの心配があるといった場合は、採用管理システム(ATS)の活用もおすすめです。たとえば弊社が提供している採用管理システム(ATS)アットカンパニーであれば、採用ページや求人の作成・更新など、運用に関する作業を専任担当に任せることができます。知識の豊富な求人のプロが法令などの確認も行い、法改正にあわせた表記をご提案するなどのサポートも可能です。

また、自社のリソースや強化したい部分にあわせて一部サポートや、丸ごとお任せするなど、支援範囲をカスタムすることもできます。幅広い業種で使える採用管理システム(ATS)ですので、ぜひこの機会に活用をご検討ください。

まとめ:固定残業代に関連する表記・法令チェックに自信がない場合は、プロに相談するのがおすすめ

今回は、固定残業代の概要と正しい書き方、注意点や計算方法などを解説しました。固定残業代は採用の基礎となる知識ですが、求人へ正しい書き方をしなければ、トラブルに発展してしまうことも少なくありません。トラブルを防止して前向きな採用活動を続けるために、定期的な自社求人や法令チェックも心がけましょう。

記事内でご紹介したアットカンパニーは、自社内のPCで簡単に採用ページや求人の作成、掲載、応募者管理などを行うことができる採用管理システム(ATS)です。採用の知識が豊富な専任スタッフが運用や求人作成のアドバイスを行うため、効果的な求人の作成方法をはじめ、残業代の表記方法までさまざまな支援を受けられます。

固定残業代など法令に関する知識に自信がない場合は、採用のプロにサポートしてもらうと安心です。採用方針や課題に応じたプランのご提案も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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