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【例文あり】求人の賞与や昇給の正しい書き方とは? 魅力的な伝え方を詳しく解説

例文あり!求人の賞与・昇給の書き方

求人は、企業が求職者に向けて自社の魅力や条件を伝える大切な手段です。とくに賞与や昇給といった給与に関する情報は、求職者が注目する項目ですので、書き方には注意しなければなりません。

しかし、賞与や昇給をどのように記載すればよいのか、また魅力的に伝えるための方法は何か、という疑問を抱える方も多いでしょう。そこで本記事では、賞与や昇給の正しい書き方と、それを魅力的に伝える方法を詳しく解説します。具体的な例文もご紹介しますので、ぜひ参考にしていただき、より多くの求職者に自社の魅力を伝えていきましょう。

賞与や昇給制度は求職者が気にするポイント

賞与や昇給制度は求職者が、転職活動をする際に注目する項目のひとつです。株式会社リクルートが行った「求職者の動向・意識調査2021」によると、仕事を探す際に重視した項目として、昇給制度が14.7%、福利厚生(賞与・手当など)が22.0%となっています。

さらに、正社員になると、その割合はさらに高くなり、昇給制度が21.8%、福利厚生が28.6%となっています。このデータからも、求人企業の賞与や昇給制度の有無は、求職者が仕事選びの際にとくに気にするポイントといえるでしょう。

それでは、賞与や昇給は具体的にどのように求人に記載すべきなのか、採用担当者が知っておくべきことについて詳しく解説します。

引用:ジョブズリサーチセンター|求職者の動向・意識調査2021 基本報告

賞与とは

賞与は、毎月の定期給与とは別に支給される「一時金」「特別手当」のことを指します。一般的には「ボーナス」とも呼ばれ、夏と冬の年2回支給する企業が多いです。一方、賞与を支給するかどうかや、支給額をいくらにするかは労働基準法による定めはなく、企業ごとに規定が異なります。

また、雇用形態によって支給の有無や金額を変える企業も多いですが、非正規社員(契約社員・アルバイト・パート)であっても支給するかどうかは、企業ごとに規定が設けられています。

賞与の決定は企業によって異なる

賞与の支払い義務は労働基準法によって定められていないため、企業によって対応が異なります。したがって仮に賞与が支給されなくても法令違反ではありません。

賞与がいつ、いくら支給されるのか、または支給されるのかどうかは、企業ごとに規定が設けられています。これらの規定は、就業規則や労働協約・労働契約などに明示されています。

また、賞与の金額を決定する際の基準は、企業ごとに異なるものの、一般的には次のような基準や要因が考慮されることが多くみられます。

業績連動企業全体の業績や部門の業績に応じて賞与の金額が決まる。業績がよければ賞与が増額され、逆に業績が悪ければ賞与が減額されることもある。
個人の評価個人の業務遂行能力や成果、貢献度に応じて賞与が決定される。年間の評価や半期ごとの評価など、評価のタイミングは企業によって異なる。
基本給との連動主に賞与が基本給の何か月分として計算される。たとえば、基本給が30万円で賞与が基本給の3か月分とされている場合、賞与は90万円となる。
勤務年数経験や貢献度を評価するため、長く勤務している社員ほど、賞与の金額が多くなる。
業界標準同業他社との競争力を保つため、業界の平均的な賞与水準を参考にすることがある。
企業の方針企業の経営方針や人事戦略に応じて、賞与の金額や支給の仕組みが設定されることがある。
その他の要因企業の財務状況、経済状況、労働市場の動向など、多岐にわたる要因が賞与の金額の決定に影響を与えることがある。

これらの基準や要因は、企業の規模、業界トレンド、経営状況などによって異なるため、具体的な賞与の金額や計算方法を知りたい場合は、就業規則や賃金規定を確認しましょう。

アルバイトやパートにも賞与は支給すべきか

アルバイトやパートなどの非正規社員に対して賞与を支給する企業は少ないのが現状です。しかし、なかには支給しているケースもあり、その条件や金額は企業によって異なります。非正規社員が賞与を受け取る場合は、就業規則や賃金規定に記載されているので確認してください。

また、2021年4月からはパートタイム・有期雇用労働法により「同一労働同一賃金」が施行され、アルバイト・パートが正社員と同等の職務に従事している場合は、不合理な待遇差が生じないようにしなければなりません。したがって、企業は従業員の雇用形態にかかわらず公正な待遇を確保する必要があります。

賞与の種類

賞与というと、一般的には年に数回支給されるボーナスをイメージするかもしれませんが、実は賞与にはさまざまな種類が存在します。

これらは、支給の基準やタイミング、計算方法などによって異なります。ここでは、主な賞与の種類と計算例について詳しくみていきましょう。

基本給連動型賞与

基本給連動型賞与は、社員の基本給に連動して決定される賞与のことを指します。具体的には、基本給の何か月分として賞与が支給されるかがあらかじめ定められています。このタイプの賞与は、企業の業績や個人の業績に左右されることなく、安定して支給されることが特徴です。

<計算例>
基本給(手当除く)が30万円で、賞与が基本給の3か月分とされている場合

賞与 = 30万円 × 3か月 = 90万円

業績連動型賞与

業績連動型賞与は、企業全体の業績や部門・個人の業績に応じて賞与の金額が決まるタイプの賞与です。業績がよければ賞与が増額され、逆に業績が悪ければ賞与が減額されることもあります。このタイプの賞与は、社員のモチベーション向上や業績向上を促す効果が期待されます。

<計算例>
年間の目標売上が1億円、実際の売上が1.2億円で、達成率120%の場合の賞与が基本給の10%増とされている場合

賞与=基本給 + (基本給 × 0.10)

決算賞与

決算賞与は、企業の決算時期に合わせて支給される賞与のことを指します。多くの場合、年度末の業績を反映して決定されるため、業績連動型賞与と似た特徴を持っています。一方、決算賞与は特定の時期にのみ支給されることが特徴です。

定期賞与とは別に支給されることが多く、特別手当の意味合いもあります。決算賞与は企業の業績によって支給が決まるため、社員のモチベーション向上も期待できます。

<計算例>
年間の純利益が5,000万円で、純利益の2%を賞与として社員に還元する場合

賞与 = 5,000万円 × 0.02 = 100万円(これを社員数で割った金額が一人当たりの賞与)

求人の魅力的な賞与の書き方

求人は、企業が自社の魅力や条件を求職者に伝えるための重要な役割を担います。とくに、賞与に関する情報は、求職者の注目を集めるポイントとなるため、できる限り具体的かつ魅力的に記入すべきでしょう。

ここでは、求人における賞与の魅力的な書き方のポイントを解説しますので、ご参考にしてください。

従業員平均額の前年実績を書く

求職者は賞与の有無だけではなく、「実際いくらもらえるのか?」といったように、具体的な金額を知りたいと思っています。従業員の平均賞与額の前年実績を記載することで、求職者に対して具体的なイメージを提供することができます。

これにより、企業の給与水準の透明性が高まり、企業に対する信頼感の醸成が期待できるでしょう。

<NG例>

「賞与はしっかり支給します。」

<OK例>

「2022年度の従業員平均賞与額は500,000円でした。」

支給回数と年間の支給合計月数を書く

賞与の支給回数や年間の支給合計月数を明記することで、求職者は年間の収入を予測しやすくなります。たとえば、「年2回、合計4か月分」というように具体的に記載することで、求職者にとって分かりやすい情報提供となります。

<NG例>

「賞与は年に数回支給します。」

<OK例>

「賞与は年2回(7月と12月)、合計で基本給の3か月分を支給します。」

できる限り会社の業績によるなどは避ける

「会社の業績による」という表現は、求職者にとって不安要素となり得ます。確実性や安定性を求める求職者にとって、このような表現は避けた方がよいでしょう。代わりに、賞与の計算基準や支給条件を具体的に記載することで、透明性を高めることができます。

<NG例>

「賞与は会社の業績により変動します。」

<OK例>

「賞与は部署の達成率に応じて、基本給に掛けた金額を支給します。例:達成率120%の場合、基本給の10%増を賞与として支給」

賞与がない場合は、諸手当を詳しく記載する

賞与が支給されない場合でも、そのほかの手当や福利厚生が充実していることをアピールすることが重要です。諸手当の詳細や金額、支給条件などを具体的に記載することで、求職者にとって魅力的な条件として伝わります。

<NG例>

「賞与はありませんが、その他の手当があります。」

<OK例>

「賞与は支給されませんが、交通費全額支給、家族手当、住宅手当、資格手当など、多彩な手当があります。具体的には、家族手当は子1人につき月10,000円、住宅手当は月20,000円となります。」

昇給とは

昇給は、従業員の給与が一定の基準や評価に基づいて増加することを指します。企業において昇給は単なる給与の増加だけでなく、多くの機能や目的を持っています。

ここでは、昇給が企業において果たす機能やその背後にある考え方について解説していきます。

企業における昇給の機能とは

昇給は、企業の人事戦略や組織の成長を支える重要な役割を果たしています。それでは、具体的に昇給が果たす機能とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、昇給の主な機能についてみていきましょう。

勤続年数や職務遂行能力の変化に対する調整

昇給は、従業員の勤務年数や職務遂行能力の変化を評価し、それに応じて給与を調整する役割を果たします。

長期勤務によって得られる経験やスキルの向上を給与に反映させることで、従業員の努力や成果を正当に評価することが可能です。

労働者への就業意欲の醸成

昇給は、従業員の就業意欲を高めるインセンティブとしての役割も果たしています。給与が一定の基準や評価に基づいて増加することで、従業員は自らの業績や努力が正当に評価されると感じ、より一層の努力や成果を上げるなど、モチベーションの向上が期待できます。

社員の生活水準の維持

経済のインフレーションや物価の上昇に伴い、昇給は従業員やその家族の生活水準を維持する役割も果たしています。

昇給を通じて、従業員の生活の質を確保し、生活面の不安によるモチベーション低下や離職の防止にもつながります。

企業の成長と安全性を社員や社会に示すため

昇給は、企業の経営状態や成長度合いを社員や社会に示す手段としても用いられます。定期的な昇給を行うことで、健全な企業経営を続けられていることをアピールし、社員や取引先、投資家などの信頼の獲得にもつながります。

昇給の種類

昇給は従業員の給与が増加する仕組みとして知られていますが、昇給が実施される背景には、企業としての狙いや目的が存在します。

昇給には、その基準や評価方法、タイミングによっていくつかの種類があるため、自社の状態や目的にあわせて適した方法を選択しましょう。次に、主な昇給の種類とその特徴について解説します。

臨時昇給

臨時昇給は、通常の昇給のタイミングとは別に臨時で行われる特別な昇給です。これは、従業員が期待以上の業績を上げたり、特定のプロジェクトで著しい成果を出した場合など、一時的ながらも顕著な実績を認めるために行われます。一部の社員に対して行われるものであれば特別昇給、全社員の給与を一律で改定する場合はベースアップとなります。

臨時昇給は、従業員のモチベーションを高める効果があり、その実績を継続的に期待するためのインセンティブとして機能する方法です。

自動昇給

自動昇給は、従業員の勤務年数や年齢に基づいて、自動的に給与が増加する昇給です。この制度は、経験や知識の蓄積を時間とともに評価するためのもので、実績や能力に関係なく、全従業員が一律で昇給します。

考課昇給

考課昇給は、従業員の実績や勤務態度などの評価を基準とした昇給制度で、考査昇給や査定昇給とも呼ばれます。企業ごとに昇給率は異なり、一般的な定期昇給と同じタイミングで査定が行われることも少なくありません。

この制度は、日常の業務実績が直接給与に影響するため、従業員のモチベーション向上に寄与します。一方、企業側にとっては、査定作業に伴う時間やコストの負担が増えるというデメリットも存在します。

普通昇給

普通昇給は、従業員の一般的な業績や勤務態度、能力などを総合的に評価し、その結果に基づいて給与を増加させるものです。

特別昇給

特別昇給は、臨時昇給のひとつで、特定の条件や実績を満たした従業員に対して行われる昇給です。たとえば、新しい資格を取得した、特定の研修を完了した、特定のプロジェクトでの顕著な成果など、通常の業務外での特別な実績や努力を評価するための昇給として行われます。

定期昇給

定期昇給は、年1回や半年に1回など、定期的に行われる昇給を指します。この制度は、従業員の勤務年数や経験を時間とともに評価するためのもので、自動昇給とは異なり、業績や評価に応じて昇給の幅が変動することが多いです。

求人の魅力的な昇給の書き方

求人における昇給の書き方は、求職者にとっての魅力や企業の信頼性を大きく左右する要素のひとつです。魅力的な昇給の書き方をすることで、より多くの優秀な求職者の目を惹くことができ、企業の採用成功率を向上させることが期待されます。以下に、昇給の書き方のNG例とOK例を示します。

<NG例>

曖昧な表現を使用する

  • 「昇給あり」
  • 「昇給は頑張り次第」

具体的な評価基準や期間を記載しない

  • 「昇給年1回」

不適切な言葉遣いや誤解を招く表現を使用する

  • 「うまくやれば昇給するかもしれません」

<OK例>

具体的な昇給の評価基準や期間を明記する

  • 「昇給年1回、業績や評価に応じて」

昇給の平均額や範囲を示す

  • 「昇給年1回、平均3〜5%」

昇給の条件や評価のポイントを具体的に示す

  • 「昇給年1回、業績、勤務態度、スキルアップを評価のポイントとしています」

昇給の例や過去の実績を示す

  • 「昨年度の昇給平均は4.2%でした」

求人に昇給の情報を記載する際は、具体的かつ明確に情報を伝えることが重要です。曖昧な表現や不十分な情報は、求職者の不安や疑念を招きかねないため、適切な情報提供を心がけることが求められます。

なお、賞与や昇給と同じく、求人において多くの求職者が注目する給与の書き方につきましては、こちらのコラムをご参照ください。

求人の「給与」正しい書き方と注意点求人の給与の正しい書き方と注意点を解説! 応募者を増やすコツもご紹介

また、定期的に変更される最低賃金の最新情報を把握しておくことも大切です。最低賃金についてはこちらのコラムでご紹介していますので、あわせてご確認ください。

【2024年10月改定】最低賃金はいくらになる? 企業がとるべき対策とは?

まとめ:賞与や昇給は具体的に記入することで、求職者からの信頼が高まります

求人における賞与や昇給の記載は、企業の魅力や信頼性を示す重要な要素となります。正確かつ具体的な情報提供は、求職者の企業選びの判断基準となるため、その記載方法には十分な注意が必要です。

とくに、賞与や昇給制度は、働き手のモチベーションや応募意欲の醸成にもつながるため、求人を作成する際は具体的に記入することで求職者の信頼を得ることができます

賞与や昇給以外にも、仕事内容や福利厚生なども同様に、求人を通じて自社の魅力を最大限に伝えることを念頭に置き、よりよい採用活動を実現していきましょう。応募したくなる求人の書き方については、こちらのコラムでご紹介していますので、あわせてご確認ください。

応募したくなる求人の書き方応募したくなる求人の書き方とは? 魅力的な文章や広告をつくる5つのコツ

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<記事監修:高橋 洋介>

リクルートと広告代理店にて求人広告営業に従事。主に中小企業を中心としたアルバイト・中途社員の採用支援を行う。在職中にGCDFキャリアカウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント資格も取得。独立後はフリーランスとして企業の採用実務支援から、WEBマーケティング支援など幅広く活動している。

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