「若い人材を採用したいけれど、求人にどんなことを書けばよいかわからない…」。このような悩みを抱えている方も多いでしょう。
若い人材を採用するためには、求職者の価値観やニーズを的確に反映した求人の作成が重要です。いくつかのポイントを押さえることで、応募数アップやミスマッチの抑制につながります。とはいえ、求人に年齢制限を設けた書き方は、法律により原則禁止とされているため、書き方に注意が必要です。
本記事では、年齢制限をせずとも若い人材からの応募をふやすための書き方について、 自社の強みや特長をアピールする方法や、魅力的な求人の書き方をを交えてご紹介します。ぜひ、採用活動にお役立てください。
若い人材を採用したいときの求人募集のコツ
人材採用において求人を作成する際は、求職者の価値観やニーズを的確に反映することが重要です。心を掴むような求人を作成することで、理想とする候補者からの応募や採用成功につなげることができます。
一口に求職者といっても、世代によって求める条件が異なります。ジョブズリサーチセンターが発表した「求職者の動向・意識調査2023」によると、29歳以下の男性は、ほかの年代に比べて「通勤時間」「仕事内容」を重視していることがわかります。また29歳以下の女性は、ほかの年代に比べて「給与」「福利厚生」を重視しています。
このように、求人募集をする際は、採用したい人物像の志向性などを理解したうえで、求人を作成することが大切です。それでは、若い人材を採用したいときは、具体的にどのようなポイントを意識すればよいか解説します。
ペルソナを明確にする
求人を作成する際には、まずペルソナとする若い人材の理想像を明確にすることが重要です。たとえば、「法人営業でチームマネジメントの経験がある30代前半の男性」や「エクセルのSUM関数が使え、顧客対応もこなせる20代後半の女性」など、具体的にイメージします。
このように具体的な人物像を設定することで、求人に記載する内容が自然と絞り込まれ、的確な情報を伝えることができます。さらに、ペルソナを「必須条件(MUST)」と「歓迎条件(WANT)」に分けて整理することで、より対象が絞り込まれた求人を作成することが可能です。
ペルソナの設定を行うことで、求人が曖昧な内容にならず、求職者に対して効果的にアピールすることができます。
また、応募したくなる求人の書き方についてはこちらのコラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。
応募したくなる求人の書き方とは? 魅力的な文章や広告をつくる5つのコツアピールできる自社の魅力を整理する
求人を作成する際は、自社の魅力を訴求することが重要です。求職者は求人を通じて、その企業がどんな職場で、どのような強みや特長を持っているかを知りたいと考えています。
人が組織に共感する要素には、4つのPがあるといわれています。
- Philosophy(理念・目的):組織のビジョンや理念に対する魅力
- Profession(仕事・事業):組織の活動内容に対する魅力
- People(人材・風土):メンバーや上司と接することで得られる魅力
- Privilege(特権・待遇):組織に所属することで得られる特権や処遇
たとえば、自社の業績や将来性、独自の事業内容などの事業の魅力、産休・育休や有休取得率、社員の定着率などの環境の魅力、裁量や責任、ワークスタイルなどの仕事内容の魅力を具体的に記載することが大切です。
若い求職者はとくに、長期的な安定性や将来の成長性、福利厚生の手厚さなどを求める傾向があるので、「売上規模・業績推移」「市場内シェアの高さ」「自社独自の福利厚生」などを、示すとよいでしょう。数値を用いて定量で記載することで、よりリアルなイメージが湧きやすくなります。
求人に具体的な内容を盛り込む
求人には、業務内容や応募条件をできるだけ詳細に記載することも重要です。求職者に「この仕事なら自分にもできそうだ」と感じてもらえるように、具体的な業務内容や業務フローを明確に示します。
たとえば、業務内容については「受注データの作成(エクセルへの入力業務)」「納品書の作成」「電話対応(会社の代表電話の一次対応)」など、具体的なタスクを箇条書きにすることで、わかりやすく伝えることができます。
また、とくに近年の若い世代は、長期間安定して働けることを重視する傾向があるため、入社後の研修内容や具体的な業務内容、求められる役割、責任の範囲などを詳しく記載することで、自分が働くイメージを持ちやすくなるでしょう。
誰にでもわかりやすい言葉を使う
求人に記載する言葉は、誰にでもわかりやすい表現を使用することが大切です。業界特有の専門用語や社内でのみ通用する用語は避け、簡潔でわかりやすい文章を心がけましょう。
とくに最近は、SNSが普及した影響もあり、長い文章は好まれず、短く簡潔な文章が求められます。また、求人を公開する前には必ず複数人で読んで見直し、誰が読んでも同じように理解できるかを確認することが重要です。
適切な言葉づかいと、わかりやすい表現を心がけることで、求職者に対して効果的に情報を伝えることができます。
写真や動画で雰囲気を伝える
求人に写真や動画を取り入れることで、会社の雰囲気や働く環境を視覚的に伝えることができます。
文章だけでは伝わりにくい情報も、視覚的なコンテンツによって理解することができ、企業の雰囲気をより実感しやすくなります。
とくに若い世代の多くは、情報収集能力に長けていてSNSや動画サイト、WEBなどを駆使してあらゆる情報を得ています。社員が働いている様子やオフィスの風景を写真や動画で紹介することで、職場のリアルな雰囲気を感じてもらえるでしょう。
「会社の雰囲気が良さそう」「働いている社員の人が楽しそう」といったイメージを持ってもらうことで、若い人材の応募獲得につながります。
なお、求人写真の撮り方については、こちらのコラムで詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
求人の応募率は掲載写真で変わる? 効果的な求人写真の撮り方を解説具体的な書き方と例文を項目ごとにご紹介
若い人材を採用する際には、求人の各項目を具体的に記載することが重要です。具体的な情報を提供することで、自分のスキルや経験がその職種に適しているかどうかを判断しやすくなります。
ここでは、若い人材を採用したい場合の求人の書き方と例文を項目ごとに解説します。
キャッチコピー・職種名
キャッチコピーや職種名は、求人の最初に目に入る重要な要素です。特長が明確でわかりやすいキャッチコピーや職種名を使うことで、若い求職者の関心を惹きつけることができます。
たとえば、「未経験歓迎! 簡単なPC入力作業」や「得意先回りのルート営業、飛び込みなし!」など、具体的な仕事内容を示しながら、若い求職者が「これなら経験がそれほどない私にもできそう」と思えるようなキャッチコピーを作成しましょう。
<書き方の例>
- 未経験でも安心! 充実の研修制度
- 既存の顧客様への提案がメイン、飛び込み営業なし!
キャッチコピーの書き方については、こちらの記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
応募率を高める求人キャッチコピーの書き方! 例文つきでわかりやすく解説仕事内容
仕事内容は、実際に行う業務内容を詳細に記載することが重要です。社会人経験が少ないため、「長期的に安心して働けるか」を気にしています。具体的な業務内容を示すことで、その職種に適しているかどうかを判断しやすくなるでしょう。
たとえば、事務職であれば「書類のファイリング・整理」「郵便物の発送・仕分け」「電話・来客対応」など、タスクを箇条書きで示すとわかりやすくなります。その際、どれくらいの数をこなすか、どのようなソフトを使用するかなど、なるべく具体的に書くことで、仕事のイメージが湧きやすくなります。
<書き方の例>
- 受注データの入力(エクセルを使用します)
- 納品書の作成(1日に5枚ほど作成します)
- 電話応対(代表電話の一次対応をお任せします)
求める経験・資格
若い求職者は職務経験が少ないため、自分が持つスキルや能力が役立つか不安を感じています。求める経験や資格を明確に記載することで、自分のスキルや経験がその職種に適しているかを判断しやすくなります。必須条件と歓迎条件を分けて記載することで、フィルターをかけることが可能です。
その際、経験年数や具体的なスキルレベルなどを記載しておくことで、ミスマッチを抑制できます。
<書き方の例>
- 必須条件:高卒以上、PCスキル(基本的な入力ができるレベル)
- 歓迎条件:オフィスワーク経験(1年以上)、エクセル操作が得意な方(グラフや関数を作成できる)
なお、応募資格の書き方についてはこちらのコラムで解説していますので、あわせてご参考にしてください。
【例文つき】応募資格の書き方で求人を効果アップさせるコツ給与・賞与・昇給
給与や賞与、昇給に関する情報は、求職者にとって重要な要素です。具体的な給与額や賞与の回数、昇給のタイミングなどを明示すれば、より安心感を与えることができます。
若い求職者は、他の世代に比べて「仕事に見合う報酬が得られるか」を気にする傾向があります。
たとえば、「月給20万円、賞与年2回(6月・12月※合計3か月分)、昇給年1回(4月)」など、具体的な金額やタイミングを示すことで、若い求職者に対して透明性を持った情報提供が可能になります。
<書き方の例>
- 賞与は年2回(6月・12月)※合計3か月分/平均支給額は◯◯万円です。
- 昇給は年2回(4月、10月)あり。独自の評価制度を導入しており、自己評価と上司評価によって昇給額が決定します。
給与や賞与・昇給の書き方については、こちらのコラムで解説していますので、ぜひご参考にしてください。
求人の給与の正しい書き方と注意点を解説! 応募者を増やすコツもご紹介 【例文あり】求人の賞与や昇給の正しい書き方とは? 魅力的な伝え方を詳しく解説勤務時間・休日
勤務時間や休日に関する情報も、若い求職者にとって重要な要素です。会社一辺倒ではなく、趣味や副業など自分の時間を大切にしていることも、若い人にみられる傾向です。具体的な勤務時間や休日の情報を明示することで、自分の時間をどれくらい持つことができるか、ワークライフバランスを保つイメージを持ちやすくなります。
<書き方の例>
- 勤務時間:9:00~18:00
- 休日:完全週休2日制(土日祝日)
- 有給休暇あり(年10日付与※取得率100%)
- バースデー休暇制度あり(家族や大切な人の誕生日にも利用可能)
- リフレッシュ休暇あり(勤続3年以上の方は10日連休を取得可能)
休日・勤務時間の効果的な求人の書き方はこちらのコラムでご紹介しています。ぜひ、ご参考にしてください。
【例文つき】休日・勤務時間の効果的な求人の書き方福利厚生・待遇
先述したとおり、「福利厚生の手厚さ」は若い求職者にとって、福利厚生や待遇に関する情報は重要な要素です。具体的な福利厚生や待遇の内容を明示することで、会社が従業員を大切にする姿勢をアピールでき、若い求職者に対して働く魅力を伝えることができます。
<書き方の例>
- 住宅手当あり(オフィスから5km圏内が対象)
- 自己啓発制度(資格取得にかかる費用を負担)
- ランチ代補助(月5,000円まで)
入社後の流れ・研修
入社後の流れや研修内容を明示することで、入社後の働き方に不安を抱きがちな若い求職者に対して入社後のサポート体制を伝えられます。具体的な入社後の流れや研修内容を示すことで、若い求職者に対して安心感を与えることができます。
<書き方の例>
- 入社後3か月間は先輩社員がマンツーマンで指導します。新人研修として、業務の基本から丁寧に教えます
採用までの流れ
採用までの流れを明示することで、求職者に対して応募から採用までのプロセスが共有できます。若い求職者は転職活動の経験が少ないため、具体的な採用プロセスを示すことで、安心感を持って準備を進めることができます。
また、選考前のカジュアル面談や、オンライン面談など実施している場合は、合わせて表記しておくと、応募のハードルを下げることができます。
<書き方の例>
応募→書類選考→一次面接→二次面接→内定
求人内容について、ご不明点や不安に感じられた点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。選考前のカジュアル面談(オンライン可)も歓迎です!
若い人材を採用する際の注意点
求人を作成する際は、いくつかの注意点があります。とくに、「若い人材を採用したい」など、特定の年齢層に絞って採用活動を進める際は、次にお伝えする注意点を念頭に置かなければなりません。
年齢制限は基本的にNG
求人に年齢制限を設けることや特定の年齢層に限定した訴求は、法律により原則として禁止されています。したがって、若年層に限定した求人募集は、法律違反となるため注意しましょう。
年齢制限を設けずに、能力や経験を重視した採用基準を設けることが重要です。一方、「若手が活躍中」といった表記は事実を示しているだけなので、年齢制限にあたりません。
例
✕ NG例)20代のみ応募可、若手歓迎
◯ OK例)平均年齢は28歳! 若手が中心の職場です!
年齢制限をする際は例外事由を記載する
どうしても年齢制限が必要な場合は、例外事由を明記することで、法的な問題を回避し、応募者に対して公平性を示すことができます。例外事由を具体的に記載することで、応募者が納得しやすくなります。
具体的な例外事由としては、以下のようなものがあります。
- 例外事由1号:定年を上限とした募集
- 例外事由2号:労働基準法などで年齢制限がある募集
- 例外事由3号イ:長期キャリア形成を目的とした若手限定募集
- 例外事由3号ロ:技能などの継承を目的とした特定年齢・職種募集
- 例外事由3号ハ:芸術・芸能分野における特定年齢の募集
- 例外事由3号のニ:60歳以上の高齢者、その他特定の年齢層限定募集
なお、求人募集の年齢制限や例外事由については、こちらのコラムで解説していますので、ご参考にしてください。
求人募集の年齢制限は原則NG! ダメな理由と例外、効果的な書き方を解説難しい場合はプロに任せるのがおすすめ
求人の作成が難しい場合や、年齢制限の設定に悩む場合は、プロに任せることもひとつの手段です。
専門家に依頼することで、法的リスクを回避し、効果的な求人を作成することができます。
具体的な方法としては、以下のようなものがあります。
- 求人広告代理店:求人専門の広告代理店に依頼することで、法的リスクを回避し、若い人材に興味関心を抱いてもらえる効果的な求人広告が作成できます。
- 人事・採用コンサルタント:人事・採用に知見を持つコンサルタントに相談することで、採用基準や求人の書き方について適切なアドバイスを受けることができます。
もし、求人広告を自分で作るべきか、プロに頼むべきかお悩みの際は、弊社が提供する採用管理システム(ATS)アットカンパニーの活用がおすすめです。
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まとめ:理想の候補者に向けて、自社の魅力を発信しましょう!
今回は、若い人材を採用したいと考えている企業の経営者や人事担当者の方に向けて、効果的な求人の書き方と具体例をご紹介しました。若い人材を採用するためには、長期的な安定性や将来の成長性、福利厚生の手厚さといった、若い求職者の仕事観や会社に求めるニーズを理解し、それに応える求人を作成することが欠かせません。
まずは、具体的な候補者像を明確にし、その方にとって魅力を感じてもらえるような自社の強みを整理しましょう。そのうえで、求人に具体的な内容を盛り込み、ペルソナにわかりやすい言葉で伝えることが大切です。
また、写真や動画を活用して企業の雰囲気を伝えることで、視覚的にも魅力をアピールすることができます。これにより、応募者に企業のイメージを具体的に伝え、興味を惹きつけることができます。
求人を作成する際は、多くの方に伝えようとするのではなく、ひとりにラブレターを送るくらいの意識を持つことが大切です。想いを込めて求人を作ることで、メッセージが心に響き、「この会社で働きたい!」と感じてもらえる方が現れるはずです。